第15話
「士郎たちって1年にも怖がられてんの?」
ナメてかかる奴いそうなのに。と隣の快斗に小声で問えば変な顔をされる。
「はあ? そらお前当たり前だろ?」
何言ってんだ?と本気で怪訝な顔をされた訳がわからないでいると、由良が、あー。と横から入ってくる。
「忘れてたけど斗真高等部入学だもんね。
あんね、大概みんな初等部か中等部からここ入ってるから士郎さんたちのことはみんな知ってるよ。
1年も見たことないって奴はいないんじゃない?」
「え、あー。そっか」
なるほど。
士郎たちも初等部からいるもんな。
そっかそっか。と頷く。
「士郎たちって中等部の時からあんなんなの?」
「まあ怖がられてはいたねぇ。
今みたいに恐れられてるってよりは近寄り難いっていうか…空気が出来上がってたし」
昔からあの3人でいるしね。と言う由良に、普段の遠巻きな周りを思い出す。
確かに近寄り難い。
あれが中等部からって相当だな。
士郎たちがナメられてんのとか正直想像できないっていうか…いたとして相手が殺される想像しかできない。
士郎たちが高等部入学時は当時の上級生たちと一悶着あったらしいけど。
「出場者は事前に通達いってると思うから一階に降りてきてね」
にこやかなりづさんの言葉にげっと思わず顔を顰めた。
こんな目立つ登場の仕方なの?聞いてないんだけど。
え、これやっぱ俺出なきゃダメ?
果てしなく嫌になってしまい、意気揚々と立ち上がる奴が数名いる中でそのまま座っていれば両隣にどんっと背中を叩かれる。
ちょ、痛い。
「何してんのお前。早く行ってこいよ」
「びびっちゃったー?」
「お前らなぁ…」
他人事だと思いやがって…
「良かれと思って言ってやってんだぞ。
士郎さんの顔見ろよお前」
「ん? …うわ」
一階の士郎に目を向ければ、「さっさと来いや」という顔でこっちを睨みつけていた。
ですよねー。
はぁ。とため息をつき、立ち上がる。
「行ってくる」
いってらー。と手を振る呑気な友人たちに手を振って応える。
「あれ。斗真でんの?」
「とーまの喧嘩久しぶりに見る!」
「がんばー」
「お前絶対勝てよー」
一階に降りる道すがらクラスメイトたちに口々に声をかけらる。それに適当に返事を返しながら一階へ。
中央に向かう俺に1年がざわついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます