聖なる怪物の貴方へ

綴否-Tsuduri.ina-

1話 怪物朧月

 ねぇねぇ『怪物オボロヅキ』って知ってる?

 あー狸の怪物だっけ?

 ちがうよ!一つ目の熊の怪物!人に意地悪する怪物だよ!あのね...


 森の奥にある空き地に住む怪物"朧月おぼろづき"。

 森の神様がいるとされる聖地に住み着いている恐ろしい悪魔の使いなんだ。

 熊の体を借りて地球にきてるって噂。

 でも本当のことは誰にもわからない...



「じっちゃん、いってくる〜」

 俺は奥の和室でまだ寝てるじっちゃんに声をかける。するとじっちゃんは急に俺の腕を掴んできた。

鶴彦つるひこ...!今日は都地山つづきやまに行くな。悪い気が溜まっておる」

「わ、悪い気?」

「そうだ。話は帰ってきたらするから、絶対に行くな。絶対だぞ」

 じいちゃんは力強く言うとまた眠り込んでしまう。

 悪い気...?

 俺は学校へ行くための道を歩きながら思う。

 都地山といえばこの先に見える山だ。でもこの道を通らないと学校に遅刻してしまう...


「ええい!どうにでもなれ!」

 俺は山に足を踏み入れた。なんだかいつもより暗く感じたその山に。

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