02.互いの私的空間に対し、過剰な干渉を控えることが同居生活を長引かせる秘訣なのだ。
少女は、
年齢はわからない。ちっこいから小学校低学年くらいかと思ったが、体形も貧相に痩せているし、口調は落ち着いているので、もしかすると小学校高学年か、ひょっとしたら中学生だったりするのかもしれない。
本人に
「
と
そんな風にしおらしくせず、もう少し子供っぽく振る舞えばいいのに、などと俺は思ってしまったが、目の前にいる実際の子供――幽霊ではあるが――を差し置いて大人の俺が子供らしさを語るのも
「気にすんな。俺は別に、何も困らん」
と短く答えておいた。
もっと愛想のいい態度ができないのかこいつは、と自分で自分を叱りつけたくなるが、ここで俺が「カワイコちゃんがずっと部屋にいるなんてご褒美でしかねえだろ!」とかなんとか叫んだりしようものなら悲鳴、通報、逮捕のRTAが始まることは想像に
いや、幽霊相手に法律が機能するのかは、よくわからないが。
何も困らん、と言ったのはあながち嘘でもなく、部屋に招くほど仲のいい友人に心当たりがない孤独にして孤高の俺にとっては、部屋の隅に幽霊の一人や二人がいたとて、何のトラブルにも繋がる心配はないのだった。
あえて問題点を挙げるとするのであれば、紳士の紳士による紳士のための紳士的な行為を行う空間が失われてしまった点であるが――、いや、これ以上は何も言うまい。賢明な読者諸氏には推察できることだろう。ただし、いかに欲求が溜まろうとも、俺は
たまに
彼女が俺の日常へと
「あの……、何、してるんですか?」
俺がキーボードをカタカタ
「小説を書いてる」
何一つとして恥じるべき理由はないので、俺は正直に答えた。俺が趣味で書いている小説の大半はエロ・グロ・ナンセンスをたっぷりと詰め込んだイカれた怪文書だが、ジャンルまでは
「でも、一から書き直しだ。結末がつまらん」
物語の結末は、冒頭からの積み重ねによって決まる。
結末がつまらないからって、結末だけ書き直せばいいというものではない。
俺は物語に“救い”を求めている。
馬鹿で、邪悪で、欲望に忠実などうしようもない奴らが、救いようのない奴らなのに、それでも勝手に、小さな
そんなくだらない
だから、途中までは本能のままに書き進められても、さてそろそろ話を畳もうというところで我に返ってしまう。これでは駄目だ、これじゃあ誰も救われないじゃないか、と
「……えっと、どんなお話なのか、
今日も、夜は長い。
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