第9話 スイスゾンビ 6 (プラ)
下へ、しかし斜めであるからこそ、前へ進みたいのでございます。
僕が上へ登ろうとしても、その上はとうに閉ざされてしまったのですから。
混乱と眩暈こそが楽しみだと誰かは申すのでしょうが、
言葉には常に例外があるのでございます。
これまで歩んできた僕のすべての足跡が誤りであったことは、
皆が認める罪でございましょう。
最初のあのときめきも、
最初のあの絶望も、
今となっては何も感じません。
しかし、僕に「諦める」という選択肢は存在しないのでございます。
下へ、しかし斜めであるからこそ、前へ進みたいのでございます。
僕が上を目指しても、その道はとうに塞がれているのですから。
けれど、縛られているわけではございません。
だからこそ、毎日笑い、叫び、駆け回りましょう。
そうすれば、彼らは苦しむのです。
僕たちはもう堕ち切ってしまったのでございます。
昔、僕たちがどんな罪を犯したかなど語りたくもありません。
その代わりに、僕の体は腐りゆくのでございましょう。
それこそが僕の生であり、僕の目的であり、僕の夢でございます。
ですが、あなたは混乱と眩暈に満ちた存在ですね。
今のこの恐怖も、
今のこの妄想も、
恐ろしい影が僕の首を締め上げるとき、
数十人分の血の鉄臭さが僕に催眠をかけてしまうのでございます。
下へ、しかし斜めであるからこそ、僕は前へ進みたいのでございます。
僕たちの身体は優しい牢獄に閉じ込められ、狂っていきますが、
卑怯な生を生きる私だからこそ、
この人生でも笑うことができるのでございましょう。
下へ、しかし斜めであるからこそ、前へ進みたいのでございます。
僕たちが上を望んでも、その道はもう久しく閉ざされております。
すべてが誤りではございませんから、
何もかもを滅茶苦茶にして、惑わせてしまいましょう。
そうすれば、僕自身が苦しむのですから。
僕たちは実に運が良いのでございます。
下へ、さらに下へ。
上を塞いだのは僕たち自身なのです。
闇が僕たちを追いかけてくるならば、
それを避けて隠れるのが当然なのでございましょう。
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