世界平和をもう一度
青木亮平
プロローグ
やり直しの旅路
──魔王を倒しても、世界は平和にならなかった。
勇者ケイゴは、“世界を救った英雄”として称えられた。
だが、剣を置いたその日から、何かが静かに狂い始めた。
魔王は滅び、平和が訪れた──はずだった。
けれど、人々は剣を捨てなかった。
今度は「正義」の名のもとに、血を流し始めた。
魔族狩り。領土争い。権力闘争。
誰もが誰かを裁き、また戦い続けた。
──もういい。
ケイゴはすべてから目をそらし、名を捨て、ひとり姿を消した。
それでも、心に刺さった後悔だけは、どうしても消えなかった。
思い出すのは、交わらなかった言葉。
選ばなかった道。そして──変えられなかった未来。
彼が最後に選んだのは、《黒環廻帰(こっかんかいき)》という禁呪。
すべてを捨てて、過去へと時を遡る魔法。
ただし、それを発動させるには、勇者の力さえも足りなかった。
ケイゴは十年かけて、自分を鍛え直した。
過去を変える覚悟と、すべてを背負う力を手にするために。
だが、魔法を発動しようとしたその瞬間。
「……私の勝ちだ」
現れたのは、かつて倒した元魔王──マオ。
赤い瞳。黒髪。冷たい声。
過去へ飛ぶはずだった運命は、再び狂い始める。
これは、勇者と魔王だったふたりが、
もう一度、世界と向き合う物語。
やり直しの旅は、たった一人の女との再会から始まった。
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