第9話 1年の学年1の美少女

 長い注目され続ける学校を終えた俺は、整形する前の癖で誰よりも早く帰る支度を済ませ、教室を退出する。


 多くの女子のクラスメイトが悔しそうに俺の背中を目で追っていた。特に学年1の美少女の相澤からの強い視線があった。


 教室と同様に廊下で他の女子達から熱い視線を浴びながら、階段を降り、昇降口に到着する。


 上靴からスニーカーに履き替える。


 帰路に就くために昇降口を出る。


「うんしょっ。うんしょっ」


 プラスチックのカゴに多くのドリンクを入れ、重たそうに運ぶ女子生徒が1人。


 その女子生徒はピンクのTシャツに黒のジャージを身に纏う。


 茶髪のボブヘアに茶色のパッチリした瞳、日本人特有の綺麗な黄色味を帯びた肌――横顔だけでも美少女と分かる。


「大丈夫? 代わりに持つよ? 」


 流石に見逃せず、手を差し出して声を掛ける。


 俺の声に気付いた美少女が視線を走らせる。


「…」


 美少女は無言で俺の顔を見つめ続ける。何も言わずに見つめ続ける。


「どうしたの? 俺の顔に何か付いてる? 」


 俺は不思議に思い尋ねる。


 俺の言葉で我に返ったように、ハッとする美少女。


「な、なんでもないです! ご、ごめんなさい! 」


 美少女は頭を下げる。


「謝罪は要らないよ。重そうだから持つよ」


 俺は少し強引に美少女からカゴを奪う。ドリンクの詰まったカゴは確かにか弱い女子では運ぶのに重労働だ。


「あ、ありがとうございます」


 美少女は俺から視線を逸らし、頬を染めながら感謝を口にする。


「とんでもない。こんなの大したことないよ。どこまで運べばいい? 」


 俺は優しい口調で尋ねる。


「…サッカー部のグラウンドまでお願いできますか? 」


 美少女は昇降口から見えるサッカー部のグラウンドを指す。


「分かった。お安いご用だよ」


 俺は今日、何度も女を虜にした爽やかスマイルを浮かべる。


「はぅ!? あ、ありがとうございます…」


 美少女は両目がハートにはならなかったが、顔を真っ赤にしながら、俺を直視できない。


 どうやら俺の爽やかスマイルは百発百中のようだ。現時点では、そのレベルを維持している。


「そろそろ行こうか」


「は、はい! 」


 俺と美少女はグラウンドへと歩を進めた。


 一方、場所は変わり、サッカー部のグラウンド。


 俺の後に教室を後にした西田は、珍しく誰よりも早くグラウンドでボールを蹴っていた。


 本日の屈辱や鬱憤を晴らすように力強くシュートを何度もサッカーゴールに突き刺していた。


「はぁはぁ…。クソ…」


 顔を汗を腕で拭いながら、不満を漏らす西田。


 西田はゴールにサッカーボールを取りに走る。


 次の八つ当たりのシュートを打つために1つボールを回収する。そのまま前を向きながら、先ほどのゴールから離れた位置に戻る。


「おっ! あれはのどかか。ドリンクの準備をしてくれたんだな。…あれ? 」


 西田の表情が固まる。


 西田の視界には2人の人物が映る。グラウンドに向かって並んで歩いている様子。1人は妹の穏。ドリンクの詰まったカゴを持つもう1人は。


「どうして。どうして、穏と馬場が一緒に居るんだ!! 」


 西田は驚愕の声を漏らしたのだった。

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