曇り空に、太陽ひとつ

山吹ゆずき

曇り空に、太陽ひとつ

君は春風。

あたたかく私を照らす。

気が付いたら同じ温度でなじんでいる。

そこにいることが当たり前みたいな顔をして。

ちょっと前までそこには

いれなかったよね、きらめきを全部包み込んでもっと輝くんだね、

私はずっと閉じ込められているのに、


あなたは太陽でした、私は月だと思いたかった、君を受けて輝きたかった、

私はキズをもらえなかったクローバー。

私たちはゼロになってまた平均値。

笑わないでほしかった、目をそむけたくなるから。


君は仮面をはがす、私はほっとする、

暗雲が立ち込めて、私たちを曖昧にする


それでよかった、ずっと平行線でいたかった


気が付いたら君はそこにいた

ヒーローなんだね、君のようなひとのことをそういうんでしょ?

君の心は草原、私はさしずめ迷える子羊?

しょせん、私はただの。


風が吹いた、雲は飛んでいく、澄んだ空が私を見つめる。

何もなかったかのように、


何もなかったことにしたかった、私はもう動かしたくなかった、


なのに君は、ヒーローなんだね


私に太陽をくれる、それは君がヒーローだからでしょ?

ふつうはね、そんなことしちゃいけないんだよ、

私は知ってるよ、常識だよ、


やめてよ


風が流れた、濁ったのは私だけ。





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曇り空に、太陽ひとつ 山吹ゆずき @Sakura-momizi

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