文化祭の終わりに
文化祭最終日の朝。青空が広がり、校舎にはさわやかな風が吹き込んでいた。
教室の窓から差し込む光が、柚葉の頬を優しく照らす。
彼女は机の上に置かれたノートをじっと見つめていた。
ページをめくる指先は震えている。
そこには今まで書いてきた嘘と願い、そして少しずつ重ねてきた本当の気持ちが混じっていた。
「今日は、嘘じゃなくて、ほんとの気持ちを伝えよう」
柚葉は自分にそう言い聞かせ、ノートを閉じた。
校舎の廊下では、慧と結衣がすれ違っていた。
二人の表情はぎこちないが、互いを気遣う気持ちがにじみ出ている。
「文化祭ももうすぐ終わるね」
慧が静かに話しかける。
「うん、いろんなことがあったね」
結衣は少し寂しそうに微笑んだ。
教室の隅で、柚葉は深呼吸をして、自分の席に戻る。
心は落ち着き、決意が固まっていた。
「みんな、今日はありがとう」
柚葉はクラスメイトたちに向かって明るく声をかけた。
文化祭の最後の瞬間、柚葉は慧の手をそっと握る。
その温かさに、彼女の心は震えた。
「私、あなたに嘘はつかない。これからもずっと一緒にいたい」
柚葉の言葉に、慧は強くうなずいた。
結衣もそっとその場に加わり、三人は互いに見つめ合った。
言葉にならない想いが、そこに満ちていた。
その夜、文化祭の灯りが消え、校舎が静寂に包まれる。
柚葉はノートを開き、新たなページにペンを走らせた。
「これは嘘じゃない。私の未来への約束」
物語はまだ続く。
彼女たちの青春は、これからも輝き続けるのだ。
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