「死水域」
黒塚多聞
天使へと変われなかつた少年は少女の声を聴けり 死水域
生きることに意味などはなく落ちてゆくあなたはいない春のまぼろし
明滅する陰画のごとき花筏夢の果てへと消え去つてゆく
桜雨あなたは祈る過去の夢現在の傷未来の行方
春の日の内なる鳥は飛び立てず重層なりし籠の中にをり
僕は僕を保つことできず疲れ果て獣のごとく泣き疲れて 夜
虚しさに潰されさうだ涸れ果てた運河にひとり取り残されて
天使へと変われなかつた少年は少女の声を聴けり 死水域
渡り鳥 風が季節の終わり告げ何度も巡る季節の記憶よ
光と影胸に抱いて歩く日々明日はどこへ導くだらう
生きるべき理由などなく散る花の風に吹かれて道を失ふ
「死水域」 黒塚多聞 @tamonnkuro
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