一度きりの「楽譜」

ひとでくら

一度きりの「楽譜」

ゆっくりとやさしくおだやかしなやかに紡ぐ伴奏二度はないから


このこころならして装う平静をきみには昔見破られたかな


月を見た光まばらに降り注ぎ華の笑顔を重ねて見れば


頭から一度も消えないきみことがさざなみ心次第に荒れて


想うほど曲の音うるさく胸を打ち転調すれば不協和奏でて


この夜にはきみの姿はもうなくて想い届かずと知れども歌う


きみがためすべてを捧げ永遠とわに誓う愛する故こそきみ側あらめ


暗がりで叩き響かす鍵盤に血濡れの指と雫が混ざる


誰が為に届かぬ聲は終幕へ意識朧げ不協和音


可惜夜あたらよの気持ち淋しく静寂しじまなら月光届かぬ落ち着く底へ

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一度きりの「楽譜」 ひとでくら @sen-take

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