Ep.1:#5 空色縞瑪瑙-Blue Lace Agate-


お姉さんに連れられて、奥にある2つの個室のうちのひとつへと入った。


開けられた扉の向こうには、こじんまりとした空間。

和室みたいだけど、古くさくなくて、落ち着いた感じ。

なんだか、すごくセンスがいい。


畳の床の真ん中には、黒い低めのテーブル。

右側には、卵みたいな形の椅子。左側には、丸いクッションスツールが2つ並んでいた。どこか、あったかくて ふんわりとした安心感がある。

日常とは、少しだけ違う空気。


「飲み物もってくるから、好きなところに座ってね。」

お姉さんがそう声をかけて、静かに扉を閉めた。


扉が閉まると、外の音がふっと遠のいて、やわらかな光に包まれた。

目をひいた卵みたいな形の椅子に座って、身体を丸めて膝を抱えた。

ゆっくりと沈み込んでいくような感覚が胸の奥の緊張感を、そっとほぐしていく。


―――しばらくして

「お待たせ」と言いながらお姉さんが両手に、私の分と自分の分を持って戻ってきた。

グラスを受け取ると、私は そっと一口だけ飲んだ。冷たくて甘酸っぱいその味が、喉をゆっくりとすべり落ちていく。


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