Ep.1:#4 空色縞瑪瑙-Blue Lace Agate-

「紬ちゃん ちょっとここで待っててくれる?」

私が頷いたのを見て、お姉さんはカウンターの方へ向かい母と話しはじめた。

急になんだろう。母と何を話してるんだろう。

少し不安になりながらも、お姉さんが戻ってくるのを待った。


すると、母が私の方を向いて

「紬~。 お母さん、このあと表通りのカフェに

 一緒に行こうとおもってたんだけど、もう少しここにいる?」

「うん。まだここに居たい。」

「じゃぁ~お母さんだけ行ってくるから、ここで待たせてもらう?

 後で迎えに来るから。」

「え。いいの?」

母はにっこり笑って続けた。

「晶紫さんと紫水さんもいいって言ってくれてるから、大丈夫よ。」


そういうと母は椅子からはなれると

「晶紫さん、紫水さん、お言葉に甘えて……お願いしますね。」

そう言って私に手を振って玄関の方へ向かった。

お兄さんが母を見送るのか、後ろから同じように玄関へと向かった。

 

引き戸が閉まる音がして、静かになった店の中でお姉さんが私のほうを見てやさしく声をかけてくれた。

「紬ちゃん。少し場所を移動しようか」


私はこくんと頷いて、畳のスペースから降りた。お姉さんが歩き出すのを見て、ついていった。

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