しびと草

大きく伸びて

小さく可愛い けれども

手折ってはいけないよ

茎から染みでる液にかぶれる


あなたは 


前世人出合ったかもしれない

誰にも言えぬつらさで


川縁で命を


そうして辺り一帯を覆い尽くした

毒をその身に廻らせて


わたくしにさわらないで


草は何処へも行けない

貴女はわたし

地に根を張り詰めて

何処へも行かない


毒なのです


わたしも貴女です

毒がわたしをささえている


風にそよぐ

貴女もひとりの自由です

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