昼夜

水平線のむこうは滝になっている

寄せては返す波は沖になるほど

海のふちに引かれてゆく


大海原の水盤から

あふれる水を両手でうけとめ

指のすきまからおとす彼は


イズラーイール

どうしてあちら側の国へゆくのか


かつては私の指のすきまからあふれる涙を

長い指で拭ってくれたものを


水面で月の銀と陽の金を

ふたり夢中になってすくったものを


イズラーイール、

こちら側へはもう戻れない

私は昼にしか生きられない


イズラーイール、

私は今、漣と遊ぶ胸の高まりを想っている

想いは水盤から夜に落ちてゆく


おなじ頃、水平線の滝で

イズラーイールの両手が海とたわむれている


彼の足もとに漣がひろがる


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