幻に生きる人

tokky

夜の少年

私のなかに棲む 夜の少年を

逃がさぬよう 白く細い足首を鎖で繋いだのです


重くて 怠くて きっと

つらかったに違いないけれど あなたがいなければ

私がつらいのです つらいのです


華奢な手首を リボンで結び きらめく紗を纏わせても 少年の瞳は

かなしさを湛えて


少年よ 私の胸で 薄いまぶたをとじている 私は

さびしいあなたのことを想って さびしいのです


少年よ おとなになってください おとなになって

私という殻を破り 自由になってください あなたが自由になれば

私もさびしくない さびしくないと 思えるのです


そのとき 私のなかに残るのは ちぎれた鎖ときらめく紗と

晴れやかな涙だけなのだと 思うのです

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