令和7年7月23日の日記

夢美瑠瑠

第1話


   盛夏。 

  最近は、地球温暖化どころか、地球沸騰化、というらしい。

 エコロジストたちは、「地球は病気だ」と口をそろえて言う…何かの本にあった。

 目先の利益ばかり追いかけるのは、凡人の通弊で、オレもそうですが、巨視的な発想も持つべきかなあ、と反省する。


 故・小松左京さんは、雄大な視座のSFロマンをたくさん書いた方で、どれも地球や人類全体の文化や歴史、そうした大所高所、一個人の利害とかそういうものを凌駕した? ほとんど「神の視点」からの俯瞰で物語を綴っていたというような巨人。


 司馬遼太郎さんもそういうところがある。 小説を書いているうちに、どんどん思索やら知識が深化していって、やがて高邁に純化されて、天下国家を論じたくなる…職業が人格を陶冶するのは一般論らしいが、その典型例か。


 宮沢賢治や井上ひさしさんにもそういう印象がある。

 勉強家でおそろしく大量の書籍を読破…その果てにはやはり、なんというか地球やら人類の未来? 普遍的な知性や真実の意味や存在や…いったい人間とは、この宇宙とは、時間とは、空間とは、そうした普遍的で原思想的な、なんだか寧ろスピリチュアルでもある発想に辿り着いていくのかな? とも思います。


 が、小松左京さんの遺作は、「虚無回廊」という作品で、今度読んでは見たいんですが、いかにもクライ。 わりと人物が従来は開放的で、底抜けに明朗のような印象があった小松氏が、最後には「虚無」を書くしかなかった…それは人類というものへの絶望なのだろうか。 若輩者が、烏滸がましくはあるが、なんだか今の世の中そのものが、どこかおかしな方向に進んでいるのではないか? 虚無回廊の果てに明るいどんでん返しはありうるのだろうか?

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令和7年7月23日の日記 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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