暗闇

冬野猫

第1話 深夜の暗闇

毛布の暖かさと感触を布越しに感じながら、ふと目が覚める。

お腹の方に異変を感じゆっくりと体を起こす。

小便に行きたい時のあの独特感覚だ。

毛布を手放し、布団から出る。

当たり前だが、さっきまで寝ていたから電気はついておらず、窓から光が差しこむ様子もない。

どうやらまだ深夜のようだった。

暗闇の中、電気をつけるのもめんどくさくそのまま、感覚で扉の前まで行く。

ドアノブにそっと手をかけ、スーッとできるだけ音を立てないようにドアを開ける。

そこからは少しの光もなかった。

部屋を出て、そこから手探りで壁をつたう様に、そして音をできるだけ立てないようにそっとトイレを目指して歩き始める。

この暗闇がより一歩一歩を踏み出す恐怖を生み出す。

この時間じゃないと、味わえない感覚かもしれない。

深夜の暗闇のトイレが何故こんなにも怖いと思うのか。

子供であればあるほどに怖いと思うんだろうな。

小さい頃の自分を思い浮かべた。

そんなことをぼんやり思い浮かべているとトイレへと辿り着いた。

トイレの扉を開ける。

そういえば小さい頃にもこんな時間にトイレで起きたな。

そんなことをふと思い出してしまう。

この静かな夜で。


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