UNCONTROLLABLE ENTITY/見えざるものと番人と呪いの本

五色ひいらぎ

話を聞いてくれる、親切なあなたへ

 あなたは最近、泣いただろうか。

 泣いていないなら、それはいいことだ。そこまで悲しいことは特になかった、ということだろうから。

 泣いていたなら、それはいいことだ。涙には悲しみを癒す効能があるというし、嬉し涙や感動の涙であるなら、とても喜ばしいことだ。


 私はというと、どうだろうか。泣いている気もするし、泣いていない気もする。

 涙を流したのは確かだ。だがそれが「泣いた」といえるのか、よくわからない。

 そもそも、「泣いた」とはどこからを指すのか。それがよくわからない。涙を流せば「泣いた」でよいのか、それとも感情の叫びを伴うべきなのか。

 すまない、話が逸れた。あなたと定義を議論したいわけではない。ただ、今どうしようもなく、誰かに話を聞いてほしいのだ。少し長い話になるが、よければお付き合いいただけるだろうか。


 ……と、その前に。

 私は以前にもこんな風に、長々と取り留めない話を吐き出したことがあった。その時の記録は「UNSEEN ENTITY/しょうたいふめいのそんざい https://kakuyomu.jp/works/16818023211831806763 」というタイトルでまとめてある。こちらも長話ではあるが、先に見ておいていただけると、話の文脈がいくらか把握しやすくなるかもしれない。

 今から話そうとしている内容は、端的に言えば、あの当時は完全に解決済と考えていた問題が、実際には未解決のまま丸々残っていた……というものだ。なので、背景情報があれば理解の助けになるかもしれない。


 いつもながら前置きが長くなった。私の悪癖だ。

 あなたの時間も貴重だ。このあたりで切り上げて、本題に入っていこうと思う。

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