海で泳ぎ疲れた

双海零碁

大きな海

子供の頃、海風のやってくる街に住みたいと言ったやつがいた。

ただ、山は見えてはいけないなどと付け加えて。


青年の頃、誰にも言えない大きな夢を抱えてた奴がいた。

青年にとって夢は癒しであり、眩しい光であり、逃避でもあった。


大人になって、夢を叶えるため大きな街へ来た奴がいた。

そこに山はなく、しかし、海を望むことができた。


塩水を飲むように苦しみ、果てることのない水平の先を目指すように泳ぎ続けた。その先にいつかの夢があると信じて。


そしていつか、ほんの小さなチャンスと大きな大きな気づきを得て、山へ戻っていった。

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海で泳ぎ疲れた 双海零碁 @ishijosf

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