第18話 探査任務、暗転
四方八方から迫り来る光線を〈CPCAS〉の予測だけで
左手に持っていた〈
背中に展開している〈
衝撃波と共に撃ち込まれる光線を発射の直前に見切り、全速力で駆け抜ける身体を少し右へとずらす。つい先程までレイが居た位置に〈
『くそっ! まさか反撃もできねぇとはな……!』
通信機から
視界の端に映るレーダーが示す敵影は、レイ達の現在地を中心にして無数の赤点が取り囲んでいる状態にある。〈
多重起動した光の盾で光線の速度を削ぎ、それでも回避しきれない光線を右手の剣で断ち切る。
【〈
刃の消滅を示すエラーメッセージが脳内を流れる。とっさに剣の
【〈
刃に燐光が灯るのを確認しつつ、レイは前を突き進む
……大丈夫、だよね……?
心の奥底に湧き上がるのは、そんな不安。
最前線で道を切り拓く
周囲に巻き起こる衝撃波や光線の欠片をものともせずに突き進む後ろ姿は、どこか危うさを感じさせていて。レイは何とも言えない感情を募らせる。
〈
瞬間、漆黒の竜が跡形もなく消滅し、発生した衝撃波がレイの髪を揺らす。反対側で応戦する雪音も、同じく〈
通信不良の影響を最も受けている
一歩間違えれば全滅しかねない状況の中、レイ達は必死の形相で包囲の脱出を目指して漆黒の隙間を駆け抜ける。
無数の光線をかいくぐり、
無数の警告のメッセージの中に、その文言が響いたのは。
【警告。前方、右上方向より光線発射情報】
駆け巡る無機質な機械音声に反射的に視線を向け、右腰から取り出した最後のナイフに光の刃を纏わせる。
〈CPCAS〉に光線の射線を予測させ、
【算出失敗。光線接触軌道。光線相殺不可】
ありえない機械音声が、脳内に響き渡った。
「え……?」
投げ飛ばす動作が止まり、思考が一瞬だけ停止する。すぐにその音声の意味を理解し、レイは苦渋の表情でナイフを投げ飛ばす。
少し遅れて警告に気づいた
超高速で射出される光線。その軌道のあとを投擲ナイフが虚しく宙を切り裂き、闇空に溶けて消えていく。
一瞬の自失から立ち直った
とっさに、レイは手を伸ばす。光の盾を脳内で描き出し、
【〈
何とか展開に成功し、
生まれた一刹那の間に、
――直後、光の刃に光線が接触。対消滅を起こした二つの光が、とてつもない量の衝撃波を撒き散らす。
吹き飛ばされそうになるのを光の翼と一時的な対衝撃波用の量子場の強化で堪え、収まったと同時に量子場を元の最低限のものへと戻す。通信回線の圧迫で消えていた各種レーダー類が回復し、再びレイ達の瞳に様々な情報を映し出す。
……あともう少し、あともう少しで……!
折れそうになる心を叱咤し、レイは周囲の敵影を見回す。包囲網の外は目と鼻の先。ここさえ切り抜けられれば、あとはどうとでもなる。
左腰から剣を抜き放ち、再び〈
【指定座標に光線接近。回避不可。防御不可】
その音声が意識に届いた瞬間。
そして。その瞬間。レイの記憶の中に、今までずっと封印されていたものが流れ込んでくる。
さっきまで目の前に居た
視界が星空と漆黒の竜だけになる。けれど、意識は脳内に流れ込んで来る記憶の中。
現実味のない目の前の景色とは正反対に、脳内に流れ込んでくる記憶は圧倒的なまでに現実感に溢れていて。レイは流れ込んでくるその記憶こそが、自分がこれまで思い出せなかった本当の記憶なのだと気づく。
そして。それらの一幕を、幻覚のような記憶の断片で垣間見て。レイは心の中でぽつりと呟く。
……ああ。そっか。そういうことだったんだ。
……ボクは――
誰も、守れなかったんだ。
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