第三章:白い紙に託されたもの

ある日、いつものように

質問が終わった後、

彼女はふと、

白いメモ用紙を差し出した 。


「あの、実は水槽のことで

相談があるんです。

もしよかったら、

来ていただけませんか……」


最後の言葉はかすれて

聞き取りづらかったが、

頬には微かな笑みが浮かんでいた 。


その笑みは、まるで

陽だまりのように暖かく、

俺の心にそっと触れた。


これまで一度も見たことのない、

しかし、ずっと見てみたかった、

そんな安堵と期待に満ちた笑顔だった。


そこに書かれていたのは、

都心に建つ新しいマンションの住所だった 。

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