第二章:答えたいという気持ち

最初は億劫だった調べ物も、

いつしか習慣になっていた 。


店長に飼育本を借り、

ネットで情報を読み漁る日々 。


メコンフグの生態、飼育方法、餌

──知らない世界を知るのは、

思いのほか楽しかった 。


それはまるで、

今まで閉ざされていた扉の向こうに、

新たな景色が広がっていくようだった。


そして何より、彼女の真剣な問いに

きちんと答えられるようになることが、

いつしか俺の目標になっていた 。


彼女の伏し目がちな横顔に、

かすかな期待の色が浮かぶのを見るのが、

密かな喜びになっていた。


一ヶ月が経った頃には、

彼女のどんな質問にも

滞りなく答えられるようになっていた 。


相変わらず言葉は少なかったが、

淡水フグの前に静かに立つ彼女の表情には、

どこか信頼の色が見え始めていた 。


俺が語るメコンフグの話を、

まるで宝物のように、

大切に受け止めているようだった。

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