第9話 サマードライブ:中国編
〜黄昏の軍港にて〜
島根・出雲市。
国譲り神話の地であるこの町では、いま《出雲結界》の再起動が問題となっていた。
過去に封印された“祟りの剣”――アメノハバキリ。
それが突如、霧に包まれた稲佐の浜から浮上し、AR空間に亀裂をもたらしていた。
> 【アラート:封印異常】
出雲地域にて神域ARの連続干渉。
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宍道湖西岸・旧陸軍演習場跡
佐倉悠は、出雲西部の山間部に位置する旧日本陸軍の演習地跡へ足を踏み入れていた。
そこでは、戦時中に開発され未完に終わった“AR軍用演算施設”が、何者かによって再起動されていた。
そこに現れたのは――
滋賀の名家・六角家の末裔を名乗る男で、関西圏に広がる《AR復古派》の重鎮。
「君の旅もそろそろ終わりに近い……そう思わないか?」
彼は冷たく笑い、**“蜘蛛型ARユニット”**を召喚する。
> 【戦術型AR:蜘蛛式・玖号】
機能:分裂・攪乱・情報遮断
霧と蜘蛛の群れが、佐倉たちの視界を完全に奪った。
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軍港の夜、退却の決断
一行は進路を東にとり、旧軍港・境港へ向かう。
だが、街は既に包囲されていた。
**“六角派陸軍残党”**と呼ばれる組織が、軍港施設を占拠し、《祟りの剣》の搬出を試みていた。
黒石ユウト:「あの剣、持ち出される前に止めなきゃ終わりだ……!」
だが、ドローン網と蜘蛛ユニットの罠が張り巡らされた境港への正面突破は不可能。
佐倉は決断する。
「退くぞ。一度、斐伊川のほうへ迂回して、奴らの裏をかく」
> 【ルート更新:宍道湖沿岸→斐伊川→雲南市山中ルート】
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山中の結界点・毛利の策
退却ルートの途中、佐倉たちは“結界の揺らぎ”に気づく。
そこには、半ば失われたAR拠点――毛利元就の霊廟AR地点があった。
その地にて、佐倉は幻影のような元就と対峙する。
> 「智こそが力だ。戦は勝つだけでは意味がない。
その先を見よ、佐倉悠……お前の敵は“現象”そのものだ」
元就は“第三の封印術”――**
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再侵入・蜘蛛の陣を破れ
佐倉たちは、六角の罠が張られた境港へ再侵入を試みる。
だが、そこには蜘蛛ユニットと、祟りの剣を操る六角義賢が待ち構えていた。
佐倉は、かつて毛利から授かった軍略をもとに、蜘蛛陣形の“通信遮断ノード”を逆利用。
分裂する蜘蛛をあえて一点集中型に統合誘導し、黒石がそれを撃破。
戦況が動いた。
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クライマックス:剣と軍旗
ついに六角義賢と対峙した佐倉。
義賢はなおも囁く。
「この剣を使えば、過去を変えられる。君の“あの夜”も救えるのだぞ?」
だが佐倉は静かに首を振る。
「過去は背負って進むためにある。俺は前を見る」
彼は、自らの軍旗を掲げ、毛利の策と真田の魂を重ねて放つ。
> 【技:六文斬星・決別ノ型】
赤い霧が裂け、祟りの剣を飲み込んで消した――。
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エピローグ:静寂の浜辺
夜が明け、稲佐の浜には静けさが戻った。
黒石は車の屋根に座りながら、ぽつりと言う。
「……あの六角の言葉。お前、本当に後悔してないのか?」
佐倉は答えなかった。
ただ、潮風に吹かれながら、遠くの水平線を見つめていた。
> 【次なるイベント予告】
《瀬戸内侵攻計画》
舞台は再び西へ――広島、岩国、呉の“軍都”が目覚める。
戦艦AR、そして“原爆記憶領域”にアクセス可能な禁忌のAIが起動する。
> 「次に戦うのは、人か……それとも、記録された罪か」
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