第3話: パフォーマンスはけっこう大事




 ──雲母学校にて多発している心霊現象を解決する。




 それが、今回の仕事内容であり、最終目標である。


 手順などの条件は一切求めない。とにかく、悪霊を祓えるかどうかは関係なく、とにかく心霊現象を止めてしまえるならば……との事だった。


 それを聞いた時、名無子心霊相談室のボスである彼女は思った。


 それが出来たら誰も苦労はしねえし、むしろ祓うより大変だろう……と。


 というのも、『祓う』というのは結局のところ、力技である。


 言うなれば、霊力によるゴリ押しでその場より叩き出す、あるいは無理やり昇天させる、もしくは相手が根負けするまで言葉による説得し続ける……そして、滅する、この四つになるからだ。


 これの何が大変って、どれも危険を伴うからだ。


 その場より叩き出すのは、文字通り殴ってでもその場より……人に例えるなら、家から蹴り飛ばしてでも追い出してしまうという行為。


 昇天させるのも、だいたいは同じ。違うのは、叩き出す時に無理やり黄泉行きのバスに乗せてやるようなもので、これも力技である。


 この二つは、失敗しなくとも危険を伴う。


 なにせ、有無を言わさず引っ張り出すのだ。誰だって、いきなりそんな事をされたら起こるし、ふざけるなと反撃しようとするだろう。


 霊的存在だって、それは同じだ。


 いや、むしろ、悪霊はだいたい理性を失っているので、そのしつこさは理屈ではなく……だからこそ、危険なのである。


 三つ目の場合は、前者二つに比べてリスクは低いが、その分だけ成功確率も低い。


 だって、やっている事は言葉による説得である。


 要は、『この世に留まっても良い事はない。心を静め、黄泉へと向かって安穏の時を過ごした方が良い』という感じだ。


 般若心境や南無阿弥陀仏も、要は苦しみから自らを解き放つ知恵や心構え、あるいは、仏に帰依して全てを委ねて苦しみから解き放たれたい……つまり、どちらも現世の苦しみから逃れたいという原理から発している。


 説得が成功すれば、自ずと苦しみの泉は己の内にあるのだと悟って成仏する。失敗すれば、よほど危険な相手でなければ無視されて終わり……なのでリスクは他に比べて低かった。


 ちなみに、四つ目の『滅する』は文字通り問答無用な意味なので、相手側の抵抗も桁違いに大きく……そろそろ話が逸れて来ているので、戻そう。



「えぇっと……雲母学校の最寄駅まで、所用時間2時間弱か……」

「ポポポ……タクシーを使ったら?」

「残念ながら、予算の都合上そうしてしまうのは中々……」

「ポポポ……世知辛いわね」

「私がケチな事をするのは、あんたがこっそり金庫から金をくすねて購入しているプロテイン代のせいでもあるのだけど?」

「ポポポ……ごめんなさい。それじゃあ、その金で鍛え抜いた私の鋼の肉体……千金の価値があると思わない?」

「あいにく、今の私って生えてないし、そっちの気も無いから、そんな暑苦しい筋肉見せられても……」



 何をするにせよ、まずは現地に行かねば話にならない。


 いくら彼女が霊能力的にヤベーレベルで強いとはいえ、色々な意味でおかしい肉体をしているとはいえ、さすがに空を飛んで向かうのは体力的に辛い……ん? 


 体力的な問題が無ければ行けるのかって? 


 そりゃあ、可能ではある。だって、彼女は空を飛べるし。


 伊達に古き神と融合したわけではなく、人知を超えた力……神通力だってお手の物である。


 しかし、わざわざそんな事はしない。


 何故なら、普通に交通機関やタクシーなんかを使った方が速いからだ。


 牛に引かせて移動していた時期や、まともに道路が整備されていない、現代に比べて自動車の速度が出ない昭和中期頃ならともかく。


 直線勝負なら、間違いなく勝てない。障害物を無視した移動なら勝機はあるが、いくらなんでもそんな目立つような行為は取れない。


 というか、道路というのは色々な事情があるにせよ、基本的には通りやすいルートに作られている。


 いくら土地の問題があるからといって、わざわざジェットコースターのような高低差を短距離で作ろうなんて事はしない。


 だいたい、高低差が生み出す気温などの変化は、今の彼女でもけっこう洒落にならないぐらいにキツイ時がある。


 だから、飛んでいくにしても、道路沿いを進む方がけっこう早かったりするし、楽だったりするのだ。


 また、速度の問題も同じ。


 一瞬だけなら勝てるが、さすがに小一時間も飛び続けろというのは精神的にも肉体的にも体力的にもしんどいモノがあるのだ。


 ビバ、現代文明。ビバ、電気文明。


 座席に座っているだけで連れていってくれる電車・バス・タクシーの利便性の前には、結局のところ神通力の力押しである『飛行』など、勝ち目のない勝負でしかないのであった。


 ……。


 ……。


 …………そうして、だ。


 えっちら、おっちら、小さくなった手足をチョコチョコと動かして、電車とバスを乗り継いでやってきた彼女は……目的地である『雲母学校』を前にして、うわぁ……と頬をひきつらせた。



(え、なにしたの、これ……えぇ、前任者たち、こんだけ負の念が渦巻いているのを見てから仕事受けたのに失敗したの……?)



 なんでかって、学校全体に渦巻く思念というか、そういう心霊的なエネルギーがギュウギュウのギュウだったからだ。


 言うなれば、稼働中の洗濯機の中(中身たっぷり)、といった感じか。


 人が集まる……特に、雲母学校のような、高等学校は危ない。


 というのも、年齢的に精神的にナイーブな時期の子供が多く(当たり前だが)、良くも悪くも若さからくるエネルギーのせいで、霊的な力を引き寄せやすいからだ。


 いわゆる、学校を舞台にした怪談話が多い理由だ。


 基本的には生の念……つまり、心霊的な存在とは真逆のエネルギーであるため、通常ならば、そこまで大きな問題が起こることはない。


 せいぜい、思い返せばちょっと不思議な出来事だったかな……と、後になって首を傾げるぐらいが関の山である。


 それなのに……彼女は、あまりにも酷い、常人には感知できないし見る事もできない雲母学校の有様に、どうしたものかと頭を掻いた。



 ……遅くなったが、一般人の目線で、少しばかり説明しよう。



 まず……彼女が訪れた雲母学校の見た目というか外観は、そこまで目立った特徴のない、普通の高等学校だ。


 それなりに歴史があるようで、外壁の汚れや、僅かに削れている学校名が記された表札、一部破けたボールネットが校庭を囲うように設置されている。


 そして、雲母学校は、いわゆる『進学校』と呼ばれている、大学進学率の高い学校である。実際、難関大学に何人か入学を果たした実績があるとのこと。


 ちなみに、少し話が横道に逸れるのだが。


 けっこうイメージされがちな『進学校=難関大学への進学』というのは、様々な媒体にて培われてしまったことで、誤解されている部分だったりする。


 実は、『進学校』の明確な定義は存在していない。とはいえ、一般的には、大学に現役で進学している率が高い高校を指すらしい。


 つまり、進学する大学の難易度や偏差値などは関係ないのだ。


 極論だが、いわゆるFランク大学と呼ばれる大学への進学率が100%とかでも、いちおうは進学校としてカテゴライズするのは可能であったりする。


 いわゆる、なんちゃって進学校と呼ばれたりするところもあるやつで……さて、話を戻そう。


 いちおう、事前にある程度は雲母学校の事は話を聞いている彼女は、正門傍にある受付代わりの守衛室前で立ち止まり、守衛へと声を掛ける。


 最近では全部機械任せにしているところも多いらしいが、この学校では用務員も兼ねているようで、守衛(男性)は作業服を着ていた。


 その都度業者を呼ぶよりも、細々とした整備を行え、同時に人の出入りを確認する人が居る……その方が、防犯性が高いのだろう。


 まあ、知らんけど。


 特に自分には関係ないのですぐに興味から外した彼女は、事前に渡されていた案内状を見せる……すると、守衛室より出てきた彼に案内されることになった。



 ──その際、とんでもなく胡散臭い者を見る目を向けられたが、彼女は華麗にスルーした。



 こういう仕事には、付き物だから。


 なにせ、彼女自身も否定しないぐらい、客観的に見たら私もだいたい胡散臭いよなあ……と、思っているから。


 見えない者はどう足掻いても見えないし、遭遇する頻度とて稀で……おまけに、心霊関係の詐欺師も相応に多いのだから、こりゃあもう仕方ないよね……というのが、彼女の正直な気持ちでもある。


 実際、彼女も今の姿になるまでは、そういうのは全部嘘っぱちだと思っていたわけだし。



 ──ちなみに、今の彼女の恰好は、紅白柄の巫女衣装である。



 特別な意味など欠片も無いし、神道を信仰しているわけでもないし、なにかしらの思い入れがあるわけでもない。


 ただ、己の魂と融合した『古き神』が、『──何事も形から入るのが大事なり』と仰ったので、仕事の時はTPOに合わせた衣装を身に纏っているだけである。


 まあ、それ以前に、だ。


 『古き神』の言い分もそうだが、大した人生を歩んだわけではない彼女も、そういうのはけっこう大事だというのは分かっていた。


 そう、見た目って大事なのだ。


 見た目が不潔である、それだけで仕事を頼もうと思う者は減るし、適材適所に合わせた格好をするだけで、大半の人は印象をガラリと変える。


 能力向上とかはまったく関係なくとも、そういう意味では相手を安心させられる……それぐらい、見た目というのは重要なのである。



「……あの、本当に成人済み?」

「よく言われますけど、本当にそうなんです」

「そ、そう……すみません、失礼な事を聞いて」

「いえいえ、誰しもが一度は通る道みたいなものなので、お気になさらず」



 そう、見た目って、本当に重要なのだ(震え声)。


 何故なら、彼女の場合は顔立ちも含めて身長が11歳女子の平均にギリギリ届く程度しかない。


 ちなみに、11歳女子の平均ギリギリは144cm程度らしい……が、しかし、だ。


 仮に、この場にそれを知っている第三者が居たとして、彼女のプロフィールにて『身長144cm(仮)』の文字を見たならば……おそらく、大半の者は同じ疑問を抱いたことだろう。



 ──え、本当に144cmもあるの? と。



 そう、実はこの11歳女子平均ギリギリというのは、彼女からの自己申告の数値であり、正確に測ったわけではなかったりする。


 なので、そういうトラブルがよく起こる。


 そりゃあもう、仕事の時は巫女服とか着ないと迷子として通報されてしまう……なんて事を数回経験すれば、嫌でも身にしみるというものだ。


 だから、やっている事はコスプレでしかないのだけど、着て行く必要があったわけですね──とまあ、見た目の話はここらで置いといて、だ。



(……ん? この人、学校の空気に馴染んでいないな? 新人さんか……)



 前を行く守衛の背中を見ていて、ちょっと気になる点を見つけた彼女は内心にて首を傾げる。


 いわゆる、『場に馴染む』、というやつだ。


 実は、霊的な部分でもそういうのは有って、霊感の鋭い彼女は、そういった違いを感じ取ることができる。


 最初のうちは遅かれ早かれ、誰でもそうなのだ。


 日数が経てば自然に場の空気……この場合は、雲母学校の空気に馴染んでいくが……そうでない者は部外者か、あるいは新人か……そのどちらかなのだ。



「……ところで、お名前はお伺いしても?」

「え? あ、ああ、守衛しゅえいです」

「はい?」

「私、『守・しゅ・えい』という名前でして。胸のコレは役職名ではなく、私の名前なんですよ」

「──っ! こ、これは失礼を」

「いえいえ、御気になさらず。とても珍しい名前なおかげで、こういう仕事に関しては一発で採用される事が多いんですよ、実はね」

「は、はぁ……」

「ちなみに、私は日本人です。これもよく勘違いされるんですよ」



 まあ、シックスセンスでそういう部分を感じ取れる彼女でも勘違いというか、そういう事には遭遇するので……本当に、見た目というのは大事である。



 ……さて、話を仕事に戻そう。



 現在の時刻は、先ほどチラッと確認出来た。12時を少し回っている……時間帯を考えたら、ちょうどお昼のチャイムが鳴る前……ぐらいだろうか。


 もしかしたら、増田が来ているかも……と思って校内の気配を探ってみるも、当たり前と言えば当たり前だが、居なかった。


 そりゃあ、そうだ。


 増田はあくまでも仲介役で、本業は不動産屋だ。この仕事は、『増田の幼馴染である理事長』からの依頼である。


 まあ、増田が義理堅いというか真面目な性格なので、仲介した手前、それでお終い……とはせず、どこかで様子を見に来るかもしれないが……で、だ。



「──守衛さん」



 通り過ぎる教室には生徒たちの姿が扉のガラス窓より確認出来る……その中で、少々緊急を要する者を見つけた彼女は、足を止めた。



「はい、なんですか?」



 同じく立ち止まって振り返った守衛に、彼女は尋ねる。



「私の事はもう、この学校の生徒たちには話されていますか?」

「う~ん、どれぐらいしっかりとされているかは分かりませんが、先日より何度か先生方から生徒たちに……たぶん、『○○日にお祓いの人が来る』、程度の事はしていると思います。これまで、そうでしたから」



 なるほど……見た目はともかく、どのような目的でどういう人物が来るのか……その程度は既に周知済み、というわけだ。



「つまり、私の見た目はともかく、私がこの学校で起こっている心霊現象をなんとかしてくれる……そういう説明はもう成されているわけですね?」

「ええ、まあ……あ、ちょっと!?」



 それならば、話は早い。


 ちょっとばかり慌てている守衛を尻目に、彼女はガラリとノックもせず教室の扉を開けた。


 途端──教室の中に居た全員の視線が彼女に集まる。教師も、生徒も、例外なく……ハッとナニカを察した後で……胡散臭い者を見る目になった。


 特に、教師からの視線は冷たく、今にも『授業の邪魔だ、出て行け』と言わんばかりに顔をしかめていた。


 そこから更に、視線の色が変化する。主に、三つ。



 一つは、困惑の色だ。


 そりゃあ、そうだ。


 突然巫女服を着た女性……小学生がコスプレしているようにしか見えない女性が入って来たら、『え、マジで?』と困惑して当たり前である。



 二つ目は、疑念の目だ。


 これもまあ、分かる。


 だって、既に2回も失敗しているのだ。三度目の正直とは言うが、改善するどころか悪化し続けているともなれば、そりゃあ視線も冷たく厳しくなるだろう。



 三つ目は……単純に、可愛いモノを見る目だ。


 これもまあ、うん、仕方ない。


 彼女の見た目が見た目だし、顔立ちは間違いなく美少女なのだ。『あら、かわいい』と、そこで思考を止める者が一定数出てくるのもまあ、致し方ないことである。



 ……さて、仕事をしよう。



 『懐』より取り出した『お札』を構えつつ、目的の人物へ。


 その人は金髪がギンギラ眩しく、目つきはちょい鋭く、体格も良く……ジロリ、と『何か用か?』と言わんばかりに睨みつけて来た男子生徒──なので。



「よいしょ」



 ペタリ、と。


 有無を言う前に、ペタリとその額に『お札』を張り付ける。


 ギョッと目を見開く男子生徒──おそらく、彼女の動きを見切れなかったというか、視認すらまともにできなかったせいなのだろうが、そうなるのも仕方がない。


 なにせ、あの筋肉デカ身長デカ乳デカケツポポポ女の全力ラッシュパンチを、激流を制するはなんちゃらみたいな動きで『──見切った』ができるのが、彼女なのだ。


 多少なり喧嘩や自己流の筋トレをしているとはいえ、素人の男子生徒が避けられるはずもなく──ハッと我に返った彼が、慌ててその札を剥がそうと──。



「ふんぬ!」



 ──する前に、だ。


 その足に憑りついていた悪霊を──傍目には、足の隣、虚空のあたりを掴んだように見えただけだろうが、そのまま引き剥がせば、すぐにそうではないのが露見された。


 なんでかって……いや、その前に、一つ説明をしておく。


 今しがた男子生徒に張ったお札は、悪霊をどうこうする類の代物ではない。


 悪霊に憑りつかれているその身体を保護し、同時に、憑りついた悪霊を他者に視認しやすいようにするというものだ。


 なんでそうするかって、そうしないと周りが納得しないし、いざ支払いの段階になってゴネられる事がなくなるからだ。


 これ、けっこう大事。


 やる事はちゃんとやっているのに、踏み倒そうとするやつけっこう多いから……まあ、そのかわり。



「う、うわぁ!?」


 その声は、今しがた彼女の手で除霊を受けた、金髪ギンギラギンな男子生徒のモノ。



「ひぃぃっ!?」


 その声は、突然のことに目を白黒させていたが、姿を見せた悪霊に思わず飛び退いた、近くの生徒のモノ。



「きゃぁああ!?」


 その声は、悪霊のおぞましい姿を見て、思わず反射的に悲鳴を上げてしまった女子生徒のモノ。



 そう、結果として、初見の者をたいそう怖がらせてしまうのだが……まあ、それも致し方ないのだけれども。


 トラブルを未然に防ぐために、ちゃんと除霊を行っているのだと……全員とまではいかなくとも、教室内に居た大半には、彼女の手が掴んでいる悪霊の姿を目撃していた。



 それは──一言でいえば、歪に固まった肉の塊のような姿をしていた。



 目があって、耳があって、鼻があって、口があって、髪の毛もあって、手足もある。ただ、形状がボール状というだけ。


 そう、ボール状だ。


 バスケットボールぐらいのサイズの身体から、大きさがばバラバラな目と、耳と、鼻と、口と、髪の毛と、歪な形状をした手足がトゲのように伸びていた。



『あぎ、あぎ、あぎ、あぎ……』



 身体の3割ぐらいはありそうな大きな口から、なんとも不快感を想起させる声が……ふむ、と一つ頷いた彼女は、空いている手で『懐』より短刀を取り出すと。



「闇は闇へと去れ!」



 蛍光灯の光にきらめくソレを、ズブッと刃の根元まで勢いよく突き刺した。


 瞬間──不快感ボール(名無子・命名)はぎゃあ、と断末魔の悲鳴をあげると、その身体は瞬く間に崩れてボロボロに……そうして、跡形もなく消えた。


 誰も彼もが、何も言えなかった。


 視線で威圧しようとしていた金髪の男子も、胡散臭そうに見ていた生徒たちも、生徒に近付いたので制止しようとしていた教師も、呆気にとられた様子でその場より動けなかった。



「……ふむ、引き寄せられた雑多ざったね」



 そんな中で……手応えから、今の悪霊の程度を確認した彼女は、スルリと短刀を『懐』に仕舞うと……さっさと踵をひるがえし、呆然としたままの守衛の前に立った。



「用は済んだわ、ごめんなさい、勝手な事をして」

「え、いや……」

「ほら、昼休みが始まると邪魔になってしまうでしょ」

「あ、はい……」



 まだ現実を上手く受け入れられていない守衛の背を押して、彼女はそのまま廊下に出て……理事長室へと向かうのであった。


 その背中より──今しがた出てきた教室から響く、ざわめきを無視して。



――――――――――――――――――


ポポポ女が出ないと平和ですね…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る