ぼくの新しい記憶。

@Kinoko_P04

第1話 俺の後悔は成長していない証拠。(前編)

 俺の名前は石田 錬、大学生だ。俺は後悔をしている。何にだと思う?

答えは簡単だよ。そう、人生に。みんな人生に後悔していると思うし、した経験もあるだろう。


 SNSには様々な声が見れる。液晶に指を走らせているといろんな投稿が見えてくる。例えば、自己嫌悪に苛まれた投稿や人間関係でイライラしている投稿、昨今の世の中に不満を抱いて文にしてぶつけている投稿など様々だ。


「今日も見ていると鬱になるなー。。。」

「錬!何してるの?飯行こうぜー」


 声をかけてきたのは友人のあつしと友也だ。二人は中学校からの友人なんだけど、なんやかんや大学まで一緒にいる。


「おあ!びっくりした、、いいよ。てかどこ行くの?」

(二人のことだからラーメンだろうな。。。)


「そりゃーラーメンだろうよー!なぁ友也?」

(やっぱり、んでもってマーボー麺とか言うんだろ?)


「いやマーボー麺食べたいんだよねー。」

(ほらね。)


俺は彼らの返事は百発百中だ。たまたま当たったわけでもない。

いつも聞いたことは何て返ってくるか余裕だ。


「まあ行こうぜ。時間なくなる。」

「よっしゃーそうこなくっちゃ!」


あつしも友也も子供のようにはしゃいでいる。これが俺の日常なのだ。


 ラーメン屋に着いてテーブルに案内された。あつしと友也はメニュー表を見ている中、俺はSNSにのめりこむように蟠りを聞いている。するとあつしが俺を見てきてこう言った。


「錬、最近なんかあったのか?スマホばっか見ている気がするし、顔も浮かない顔しているぞ?」

「え?あ、いや、SNS見ているのが楽しくてさ。」

「うそこけ。顔と発言が一致してねえぞ。」


 あつしが言っていることは言っていることは間違っていないが、正論すぎて苛立ちすら覚えてしまう。


「ごめん、せっかくの食事なのに。」

「謝るよりも何があったか教えてくれよ。なんかあったか?彼女か?」


 俺には彼女がいる。ただの惚気のように聞こえてしまうが、ちょっとこの先の話を聞いてくれ。


「まあ、そうだよ。。」

「またあのメンヘラか?なにがあったんだ。」

「…俺が悪いんだ…」


 彼女と交際するのは二回目なのである。つまり、復縁をしたといっていいだろう。何が問題かっていうと…遡ること一年前…


「私たちやり直さない…?」

「いや、俺たち何で別れたか覚えてるんか…?」

「わかってる…でも私変わるから…!錬に変わったところ見てほしい」

 俺の元カノのあやかは同じ歳で同じ大学生だ。ある日、入学後のレクリエーションがあって、そこであやかが俺に一目惚れして会話やデートを重ねて付き合った。がしかし、日が経つにつれてあやかがどんどん豹変していくのが身に染みて痛いくらいわかった。そこで俺は後悔を感じた。


「…わかった…今度はお互いが成長できるような関係でやって行こう。」

「錬、、、ありがとう…私頑張る!」

 そこで俺は二度目の後悔を感じるとは思っていなかった。


「錬…錬!おい!錬!!聞いてるんか!?」

 そんな回想を語っていたら、あつしが呼びかけていた。


「あ、ごめん…考え事してた。すまん。」

「んで何があったんだ?」

「彼女とより戻したんだけど、やっぱり合わなくて…。『私頑張る!』って言ってたけどまた元に戻ってきてさ…。」

「お前さ、相手に合わせすぎなんだよ。今のラーメンもそうだけどさ、自分の意思を言わなさすぎ。なぁ?友也」


 ラーメンをすすりながら友也は頷いていた。


「ほら、結局お前はどうしたいんだ?今のままでいいのか?」

「嫌だ、出来るなら付き合う前にやり直したい。あつし、どうしたらいいかな?」


 そう言った瞬間、目の前が真っ白になった。頭が痛い…。真っ白だった風景はフェードアウトのように、元に戻っていった。そこは異様な風景が広がっていた。


「え…?家…?友也?あつし?ラーメンは?」


 なんと気がついたら家のベッドに横たわっていた。服もしっかり部屋着だし、さっきのような私服じゃない。俺は不思議で不思議でしょうがない。そこで俺は、スマホで時間を確認した。


「…!?なんで…?」


 俺は目を疑った。そこに映っていたのは七月十三日、つまり一ヶ月前にタイムスリップしていたのだ。


「この日って、あやかと復縁する日…!?一体どういうことだ…?」


 俺は今日後悔を拾いにいく。




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