結末はあなたの手で
港の非常食
一番星が輝く夜
冷たい風が吹いていた。
今考えても、自分の人生というのがなんなのかわからない。
母親は私を生んだ後すぐに死んだらしい、そのことで父からは虐待を繰り返され、片親ということで学校でもいじめにあった、中学になるといじめは暴力にはとどまらなかった。
祖父母は優しかったがそんな二人も私が中学の時に亡くなった、私の心はすでに壊れていたんだと思う。
高校に入ってもいじめはなくならなかった、むしろ父親が影響力を持っている高校だったから教師陣までもがいじめ、いやもう虐めと表すのも生易しいほどの地獄を味わった。
そんな中でも一人だけ信頼していた男の子がいた、あの頃はなんて単純だったんだろうと今でも考える。虐められていた私に手を差し伸べてくれた彼、いつも私を慰めてくれた彼、あの頃は確かに幸せだったのだろう。
でも、違った
彼の眼の中に私の存在はいなかった。
彼の眼にはただの承認欲求を満たすための道具しか映ってなかった。
彼の眼にはただ欲をぶつける人形しか映っていなかった
彼の心の中に私はいなかった
それを知ったのは付き合って5年がたってからだろうか?
高校を抜け、大学には通わずに仕事をしていた。
最早私の心は父を憎むことも出来ないほどにすり減っていた、朝早くから夜遅くまで働き詰め、稼いだ金のほとんどは父親の酒代とギャンブルに消えた、残ったほんのわずかな金も3食食つなぐことでぎりぎりでそんな私は彼にどんどん依存していった。
でも、
でもでもでも、
でもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでもでも、
彼の隣にいた憎らしいほどに、恨めしいほどに、殺してやりたいほどに、幸せそうだったあの男と女狐。
あの時の絶望は今でも覚えている。
私の唯一の心の支えが、崩れ落ちた
それから私は何も告げずに彼から距離を置いた、きっと心配してくれる、様子を見に来てくれる、そう願っていた、しかしそんなに現実は甘くなかった。
今の私は冷静ではないのだろう、そもそも人として生きていたのはいつまでだったんだろうか、だがそんなことはどうでもいい、もう関係ない、考えるのも面倒くさい。
今日は星がきれいだった。
一等星が私のことをあざ笑っていた。
月が私に冷たい光をあて、絶望を満たした。
それじゃあ、ばいばい
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