飼い犬が逃げてった
チョコしぐれ
飼い犬が逃げてった-ハッピー
飼い犬が逃げてった。
朝の散歩から帰ってきて、いつものように玄関の扉を開けたら、ふと気づいた。リードが手にあるのに、チビの姿がない。
「チビ?」呼んでみるけど、返事はない。いつもなら小さな体で尻尾を振って、こちらへ駆け寄ってくるはずなのに。
慌てて外を見回したが、どこにもいない。リードが玄関の前で絡まって、何かに引っかかっている。おそらく、散歩の途中で怖い何かがあって、チビがパッと走り出してしまったのだろう。
「まずは公園を見に行こう」と、急いで靴を履いて外へ飛び出す。朝の空気はまだ冷たく、通りは静まり返っている。近所の公園には、朝ジョギングをする人たちや、ゴミ収集車の音が聞こえる。
「チビ!」と呼びながら、公園の木々の間を探し回る。草むらをのぞき込み、ベンチの下まで確認するけど、見つからない。心配で胸が苦しくなる。
途方に暮れていると、ふと公園の端の茂みから小さな音が聞こえた。音の方を見ると、泥だらけの小さな影がもたもたと動いている。
「チビ!」もう一度叫ぶと、その影はこちらに気づいて駆け寄ってきた。
チビは鼻の頭に泥がつき、耳も少し乱れている。怖かっただろうに、こちらを見て尻尾を振っている。抱き上げると、震えていたけど、元気そうでホッとした。
どうやら、リードがどこかに絡まってしまい、パニックになって走り出したところを見つけてもらえたらしい。
家に戻って、タオルで丁寧に泥を拭いてあげる。チビはだんだん落ち着きを取り戻して、普段通りの甘えん坊に戻った。
その夜、ふたりでソファに座りながら思った。怖い思いをさせてしまったけど、こうして無事に戻ってきてくれて良かった。逃げてしまったことは反省しつつ、チビの大切さを改めて実感した一日だった。
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