第5話

薫はニコニコとシャーベットをグラスに移して半分溶けたオレンジジュースをスプーンで食べる。俊も後からゆっくりと口にする。話しもいつも通りにこやかに進む中、俊は薫が少し痩せているのではないかな?と思い、口に出す。

俊「薫、ご飯食べてるって言ってたけど、お腹いっぱい食べてるかい?買い物行けてるかい?」

薫「うん。行けてるよ。量も食べてる。おやつも食べてるんだけど、お昼寝してないなぁ。なんでだろ?」

俊「お昼寝してない?薫ロングスリーパーだろ?眠れてないのか?」

薫「んー、、、心当たりはあるんだけど、、、もう解決してる。」

俊「解決してる?薫、悩み事があったのか?」

薫「もう解決してるって言ったじゃん!」

俊は、薫の言葉で確信を持った。

俊「薫、魔法使ってないか?太陽の力を強めてないか?この猛暑、魔法じゃないかなって思ってるんだけど、違う?」

薫「うん。魔法使った。」

俊「使った?どうして使ったの?あれは使ったら駄目って分かってたろ?」

薫「だって私虐められてる。どうして?何か悪いことした?」

俊は、衝撃を受けて手が止まった。薫が虐められてた。気づいてあげられなかった。薫はずっと一人暮らしで学校でも一人だったのに耐えてたんだ。虐められるようなことする子じゃないのに、なんでだ。俊は椅子から立って薫に近づき、抱きしめてあげながら話しを続けた。

俊「薫、気付いてあげられなくてごめんな。薫は悪い事してない。もう学校に行かなくていいから。俺が勉強教えてやる。学校の単位だけ取って、進学できるように学校と話しておくから明日から家でゆっくりしな。」

薫はポロポロと涙を流しながら俊に甘えた。

俊「薫、太陽の力を元に戻して。薫にしかできない。いいかい?」

薫「うん。する。」

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微熱 kaoru @kaoru_379

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