第八風め

『ありがとうの風、課題の隙間で吹いた』

_――“伝える”は風になる。そして、笑顔の記憶になる_



Scene:はる、グループLINEにて絶叫


はる:「助けてーー‼️課題‼️滅びよ‼️この世から消えてくれ‼️‼️」

→ 詩織:「またこのパターン…」

→ なぎさ:「えーと、読書感想文はどこまで逃げてる?」

→ つむぎ:「とりあえず、うちでやろ。机あるし冷房あるし、はるのやる気は無いけど」

→ はる:「風灯同盟、神かよ…‼️泣いた…‼️」


---


Scene:高月家・勉強会スタート


- はる、机に顔を伏せて「やばいよねポーズ」で沈没

- 詩織:「え⁉️課題一覧も開いてないの!?」

- なぎさ:「これ手書き⁉️呪文⁉️古文書かな?」

- つむぎ:「作文2本、感想文1本、ドリル8割。はい、地獄開始です」

- 詩織:「追試の風が吹いてるーー‼️‼️」


→ なぎさ&つむぎが“教える係”に、詩織は全力ツッコミ担当

→ ケラケラと笑い声、扇風機がくるくる、勉強会というより夏の寄り道



モノローグ:つむぎ視点


_なんだかんだで、みんなで課題やると笑っちゃう。_

_風が吹いてるっていうより、笑いで空気が温まってる。_



Scene:ケーキと母の訪問


→ 陽が「風よ、助けて…」と呟いたタイミングで玄関ノック

→ 母:「ケーキ買ってきたわよ~‼️」→全員シャキーン

→ 母:「あなたが、つむぎちゃんね。写真より可愛いぢゃない」

→ 詩織&なぎさ(耳打ち):「母、何枚見たの……?」

→ 母:「家族みたいなもんだから、遠慮しないでね」

→ ドア閉めかけた瞬間:「つむぎちゃん、“お母さん”って呼んでね‼️」

→ はる:「つむぎちゃん困ってるじゃん…」

→ つむぎ:「だ、大丈夫です……お母さん」

→ 母:「きゃー‼️言った‼️録音しとけばよかった‼️」


→ ケーキの香りが部屋中に広がる

→ 空気が甘く揺れ、風も少し笑っていた



Scene:リビング・兄の写真と陽


→ つむぎ、ふと写真に目をとめる——兄と陽が並んで笑っていた


つむぎ:「はるくん、お兄ちゃんいたんだね……」

はる:「うん、病気でね。今はもう」

つむぎ:「……ごめんね、知らなくて」

はる:「話すつもりだったし、大丈夫」→微笑みながらジュース取りに立つ



母の灯し言葉


母:「はるはね、お兄ちゃんに“笑いなさい”って言われたの。

それを、ずっと守ってるのよ」

母:「つむぎちゃんの気持ち、きっと届いてるわよ」


→ つむぎ、小さく頷いて、笑う

→ 笑顔が風に変わって、そっと仏壇の写真にも届いた気がした



Scene:駅までの夕風


→ 4人で駅まで並んで歩く

→ 信州で買った“わさびマスコット”がみんなのカバンに揺れている


詩織:「存在感が暴力級」

なぎさ:「顔がわさびなのに友情って何?」

はる:「俺的には“信州わさび同盟”」

つむぎ:「でもね、思い出ってさ、ちょっと笑えるくらいがいいよね。

ダサかわって、**風のかたちになるんだよ**」


→ 夕焼けの影に笑いが混ざる

→ 風灯同盟は、課題以上に記憶を残していった



Scene:ホーム・別れ際の一言


つむぎ:「はるくん……いつも笑顔、ありがとう」

→ はる:「その“ありがとう”、今日一番うれしいかも」


→ 扉が閉まり、風鈴の音だけが残る

→ 陽の笑顔が、空気の中に静かに溶けていった


---


Scene:陽の帰り道・公園の前で


→ 兄と遊んだすべり台の前に立つ陽

→ 柔らかい夕日、ゆれる木々

→ はる、ふと顔を上げて言う


はる:「……にいちゃん、ありがとう。

俺、笑顔でいて……よかったよ。

空の上でちゃんと、見ててよな」


→ 風がそっと吹いて、陽の背中をやさしく押した



Scene:夏休み明け・教室の朝


→ 靴箱ガチャリ/新学期の空気がゆっくり校舎に流れ込む

→ 4人のカバンに“わさびマスコット”がしっかり揺れてる


詩織:「きもかわだね、それ」

はる:「俺のは団長仕様だからね」

なぎさ:「はいはい、団長だな」


つむぎ:「でもね、思い出ってさ、ちょっと笑えるくらいがいいよね。

だから、このマスコット、**“風のかたち”だと思ってるの**」


→ 笑いながら教室に入る4人

→ そこに、新しい風がそっと吹いていた



最終モノローグ(陽)


_“ありがとう”って、言うほうも、言われるほうも、

ちょっとだけ風になれる気がする。_


_その風が、誰かの背中を押したり、

笑顔を灯したりしていく。_


_今年の夏休みの終わり、

笑った記憶が“ありがとう”って名前を持っていた。_


_だから、この風はただの終わりじゃなくて——

また誰かに“ありがとう”って言いたくなる風だった。_

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