幸福の影を追って【シアワセの物語へ捧ぐ】
真夏日に 赤き教室 影濃く
選ばれし子ら 笑みだけを見せ
幸福を 測る鬼の眼 光りたり
指先震え 数値を待てり
失われ 笑みの裏には 声もなく
心が消えて 闇に沈みぬ
幸福度 競いし者の 虚ろなる
目の奥だけが なお問いかける
「しあわせ」と 誰が決めると 叫びたし
だが声はまた 夜に溶けゆく
赤い窓 見下ろす影の 笑うとき
選ばれし者 再びは帰らず
鬼システム 「幸福」記す 冷き手に
未来と過去を いま奪われる
亡霊らの 囁き満ちる 廊下には
かつての笑顔 崩れし記憶
焦燥を 押し殺しつつ 友を呼ぶ
返らぬ声に 足もすくめり
何度でも 夜ごと赤き 教室へ
挑む心に 希望だけあり
真実は 幸福の名を 借りながら
誰かの絶望 隠しつづけぬ
選びしは 自らの幸か それともや
友のいのちを 見捨てたる罪
渇きたる 幸福欲す 声の群れ
笑みだけ残し 跡もとどめず
解けぬまま 赤き教室 夜を裂き
鬼の核へと 近づきゆけり
失いし 友らの影が 問いかける
「幸せとは何か」 声にならず
幸福の 定義を書き換え たしかなる
希望ひとつを 手にした我ら
選ばれぬ 者たちの笑み 夜に咲き
ひとときだけの 自由を抱けり
鬼の眼を そらさぬままに 前を見て
紡ぎ直せり この「しあわせ」を
裂ける空 雷鳴越えて 夜が明ける
失せし命も 夢の中笑む
新しき 物語の種 胸に抱き
今一度書く 次の「しあわせ」を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます