最強ゲーマーの俺がギャルゲー世界の嫌われ者一族に転生したので原作知識と外れスキル「炎魔法」でこの世界を無双します!
タクタクさん
第1話 プロローグ 現実世界
ゲーム。それは多くの人間が魅了される魅惑の発明品だ。
そんなゲームにもサッカーや野球のように特別強い選手というのはいる。
そんなゲーム界における伝説の選手の名前は「レオ」。
――そんなレオが突如として行方不明になったとニュースで報道された。
*
机に置いているエナジージュースを少しこぼしてしまった。そのせいでコントローラーが壊れてしまったかと思ったけど、意外にもそれは無事だった。
もし壊れていたらゲームの大会で稼いだ賞金で勝ったものがパーになってしまうところだ。
「よしよし。このままBボタンを連打してればハメ技で倒せる。勝ち筋を見つけたな」
暗い部屋の中ではカラフルなゲーミングPCの画面が派手な色に染まっていた。大人気3D CGゲーム「スクリームストップ」。面白いストーリーに最高の対戦システムで世界的に人気を博したそのゲームの通信対戦で俺は今無双していた。
神懸かった技量で行われたコンボ技で相手のHPをゼロにして、自分の画面に「WIN」という文字が表示される。
こういう景色は俺の中では当たり前だった。大会では一回も負けたことが無く通信対戦でも相手の行動が読める。その秘訣は集中すると目が覚醒してフレーム単位で相手の動きを見れるという特技にあった。
この特技をもとに俺は世界最強のゲームプレイヤーとして名を馳せている。あまりにも強すぎたため出禁になった大会もある。その行く末に付いたあだ名は「無敗のレオ」。
なんとも光栄なあだ名だった。
「負けました。ありがとうございました」
丁寧にも対戦相手がそんなメッセージを送ってきた。今どきこんなメッセージを送ってくるなんてどんな奴だ?
果てしなく丁寧な人間なんだなと思い久々に感動した。その対戦相手の名前は「ゼロ」だ。画面では魔法使いの格好をしたエロい女の子が一生懸命戦いが終わった後の画面でガッツポーズをとっているところだった。
「メチャクチャ強いですよね? お名前を教えて貰ってもいいですか?」
続けてメッセージが送られてくる。ここまでメッセージを送ってくるのは珍しいな。通常この機能を使わずの外部のアプリで連絡を取るのが普通だし、それにここまで丁寧なのも不自然だ。
もしかして初心者の女の子か?
まあ、質問されたのに返さないのも不自然だろう。
「レオです。そう言う名前でやってます」
というか対戦相手のプレイヤーネームは普通にわかるものだ。そこを見ればいいのにと若干不思議に思いながら次の対戦に移ろうとして不意にパソコンの画面が止まった。
「あれ? 動かない?」
めちゃくちゃ高いんだぞ? このパソコン。
そんなことを考えてぞっとした。もし壊れていたらとんでもない大出費になる。懇切丁寧に扱ってきたこのパソコンが壊れたなんて思いたくない。
その時、パソコンの画面が移り変わってメッセージアプリが開かれた。
「先ほどの対戦相手です。あなたの本当の名前を教えて貰えますか?」
「は? 怖いな。なんだこいつ」
いきなり動いたPCに目をギョッとさせながら、恐る恐る返信を送る。退屈な日常に何かが起こりそうな予感がしていた。
「本名もレオだけど? 入江玲央。なにか用なの? というか俺のPCに何かした?」
「ありがとうございます。この度レオ様にはこのゲーム「スクリームストップ」の特別シナリオをプレイする権利が与えられました。レオ様はプレイされますか? プレイされるなら0を。されないなら1を押してください」
いや電話じゃないんだから。
と思わずツッコミを入れるが、このゲームの特別シナリオは興味がある。
大人気ゲーム「スクリームストップ」はその名の通り悲鳴(スクリーム)を止めろ(ストップ)というタイトルのゲームであり、内容は完全な実力至上主義の世界で圧倒的な美しさを誇る傾国の美女である幼馴染と添い遂げるために強くなれという内容だ。
幼馴染であるソフィアという女の子がいろいろな強力な貴族の男たちに妾や妻にされそうになり、それをダンジョンに潜って強くなった主人公が止めるというのが主なシナリオになる。
一見単純なシナリオに思えるかもしれないが、その単純さと操作するキャラクターの美麗なグラフィックや戦闘シーンが受けて大ヒットしたのだ。
「えっと、0でいいんだよな」
もちろんこのゲームの大ファンであった主人公は0を押した。
もう5年も部屋に引きこもってゲームをプレイしていた俺はこれまでの人生を思い出す。
新卒でブラック企業に入社して実家暮らしをしながら休む暇もなく仕事に勤しんでいた。そんな生活を何年か続けて気づけた貯金が1000万円溜まったころ、ついに限界が来て仕事を辞めたのだ。
そしてそれ以来ずっと実家の部屋に閉じこもりながらゲームを書いていた。
「ははっ、ラノベとか書いてたことあったっけ。懐かしいな」
親にゲームばっかりしているなら出て行ってと言われてまずいと思った俺はどうにかラノベを書いて新人賞に投稿した。しかし、結果は鳴かず飛ばず。一次選考で落選してラノベ志望はあきらめたっけ。
最初は面白いと思ったんだけどなー。
まあ、何もしていないことの言い訳として始めたんだからそうなるのは必然だったかもしれない。
そう過去回想をしている時だった。
「は?」
突然パソコンの画面が虹色に光り始めて、中に吸い込まれる。強力な引力が発生して俺の引きこもっている脆弱な体ではこらえきれない。
「これからレオ様には実際にこのゲームの中に入ってゲームをプレイしてもらう。いいかい? これが最強のプレイヤーに対する僕たちができる最大限のサプライズさ!」
突然声が聞こえた。
とっくにパソコンの中に体を吸い込まれて何かのゲートをくぐっているような感覚に陥っているときだった。
実際のゲームの中に入ってプレイする?
そんなことが可能なのか?
しかし、現実的に吸い込まれていた体を見れば超常的な何かが起こっていることは間違いない。
そのまま眩い光に包まれながら俺の意識は消えていった。
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