第6話 「本当の私は」


「わー!植松さんアルマンドありがとうー!

私夢だったんだ、信号機。笑」


「今日、余裕あったから!

信号機っていうの?笑」


「んー、多分!では、いただきまーす!」


高級シャンパンが3本入って

無駄にならないように、慎重に飲み干す。

適度に酔わないよう、調整して。


「美味しいねー!」


「シャンパンなんてどれも…って、キララちゃんに悪いね、ごめん」


「ううん、植松さんの記念シャンパンだから美味しいの!だから写真撮ろ!」


植松さんはシステムエンジニアだって言ってたけど、お金の出処は不明。

たまーに来て、シャンパンを開けてくれる。


紳士だけど、どこか抜けてるって顧客ノートに書いていた。


吸っているタバコの銘柄も

好んで食べるものも


全部、私が管理。


じゃないと忘れちゃう、けどADHDで忘れやすい部分と、そうじゃない部分に分かれる。


ある意味、使えると思った。




「あー、飲んだなあ。インスタ上げなきゃ」



頭グラグラしながら、携帯は逆さまに持っていた。



「キララさん!大丈夫…ですか!?」


「ん…?あ!のぞみーる!ごめん酔っててトイレ占領した」


「つめしぼ持ってくるので、今暇そうだし!」




優しいなあ…







心から、綺麗なんだろう。




潰れそうな私を助けるなんて。





この仕事は横にも縦にもある。

ダメだったら時給も勿論下がる。

もっとダメなら風俗に。

それでも稼ぎたかったらセクシー女優。


だめだったら…んー





立ちんぼ?






あれ?頭、回んないや…



私ってどうなるんだろうね?


何時からだろう

自分が分からない。



本当の私はきっと泣いている。





こんなはずじゃ、なかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お金があれば、何でも。 柊 こころ @viola666

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る