第14話
人生において最も悲惨なことはなにか?
それは言うまでもなく殺人の予定があることだ。
あれから家に帰った俺はベッドに寝たままあれこれとスマホで調べた。
よい子のみんなは知る必要など皆無だが、その結果がこうだ。
・殺人罪
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
つまり人を殺すと死ぬか五年以上、あるいは一生塀の中にぶち込まれるということだ。
色々と調べたが五年で出られるってことはまずなく、最低でも十五年は囚人達とお友達になる必要がある。
今の俺が十七歳なので出てくる頃には三十二歳ということになる。当然青春なんてなしだ。
だが俺は断じて人を殺す気なんてない。
あるとすればこっちだ。
殺人幇助。
簡単に言えば殺人の手伝いで、殺人幇助罪というのはないらしい。えっと、これだ。
・第62条
正犯を幇ほう助した者は、従犯とする。
従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
難しい言葉ばかりでよくは分からないが、要は犯罪を手伝ったら共犯者で、刑の重さは事件にどれだけ関与していたかやその重大性で決まるらしい。
殺人に深く関わっていたならそれなりに重い刑が課されるのは確かだろう。
よく犯罪者のネット検索履歴を調べると犯罪を自白しているレベルで事件との関連性が疑われるニュースを見るが、今なら彼らの気持ちがよく分かる。
不安で心配で調べざるえない。これから自分になにが起きるのか。それを知らないことが一番恐いからだ。
だが俺の場合、調べたあとに待っているのは安堵ではなく、絶望だった。
十七歳だと少年法が適応されるが、それも最近は厳しくなってきており、少年院に入れられたあと成人になれば刑務所へと移送されるそうだ。
どちらにせよ重要なのはそこじゃない。
最も大きな問題があるとすれば、俺には殺人の予定があるってことだ。
どんな予定だよと思いつつ、天井を見上げて数時間前の出来事を思い返す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます