第2話
「誰だ?お前、見るからに弱そうな機体だな」
開幕早々煽りから始まった御手洗に言葉を返す前に体は動いていた。ガッと音が鳴り飛んでいったアレフの腕パーツは御手洗のものだった。
「こんにちは皆さん試験を受けていますか?」
「人語を介する機体?」
始まる前に試験官に言われたことを思い出した。人語を介する機体は全て最高得点の10点であると。さすがは最高得点、1番の合格候補の御手洗の腕を吹っ飛ばしたと感嘆するも束の間御手洗は刀を10点の機体に向けていた
「お前は後で殺してやるよ」
後回しにされるほど弱いその現実に嫌気がさした。
【同刻司令室】
「どうだうまく行くか」
コツコツと音を鳴らし入ってきたのは地球防衛隊最高司令官【久住】だった。
「はい!予定通りに進行中、ただいま最高得点機体と、今受験最高適応度の人間が交戦しています」
「ほう、名前は?」
「御手洗です!」
ペラペラと受験者一覧表をめくり目を通しながら気だるげな様子で対応していた。
「そうか、これは気になるな。」
「ええ、彼は今までの全受験生の中でトップクラスですから!」
「ああ。」
ひたいに汗を浮かべながら久住は応答した。
「新山、か。そうか。これはなんの因果かな。」
「どうかなさりましたか?」
「いやいいんだ。続けていてくれ。」
不的な笑みを浮かべながら久住は司令室を後にした。
以前として緊迫状態の試験場。静寂を切り裂いたのは御手洗の一手だった。
「片手だろうが関係ねぇ!死ねや!」
御手洗の心と刀をポッキリとおったのは異常なほどの硬さを持った敵機体の胴体であった。
「こんにちは皆さん試験を受けていますか?」
何も変えずに同じ言葉を話しだす。意味はないのだろう。だが、ゾッとする。片腕がなくなった俺と御手洗でどうやってあの鋼鉄を切ればいいんだ?
いや、策はある。だが御手洗も同時に切らなければ速攻でやられる。一か八か。かけるしかない。やってやるさ。
「予備電源起動。フルパワーだ」
「予備電源起動、適応度15+6。」
予備電源。それはアレフに備わった非常事態用電源である。コアの近くにいればコアのエネルギーを使い無尽蔵に動くことができるが、一度離れてしまったり、コアのエネルギーを受信する部分が壊れてしまうと動かなくなってしまう。その緊急事態に動くために付けられたのが予備電源である。
「俺にとっちゃいまが非常事態なんだよクソッタレが!」
予備電源を無理矢理足しても足りないあいつとの適応度の差は武器の重さと、遠心力で補う。片手で無理矢理ぶん回したビックアックスは御手洗の機体と10点の機体を同時に切り落とした。
「ははっ、やってやったぜ」
「御手洗撃破により、新山新に12ポイント移行します」
「現在ポイント一位新山新、22ポイント」
一位に踊り出た俺は歓喜のあまり涙を流した。
そのまま出口に行き俺は試験を終わらせた。
「やはり、新山。偶然じゃないのは確かみたいだね」
またもや不敵な笑みを久住は浮かべていた。
コア るる @rurururr
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