天使を打ち倒す【銀灰の細身剣】――①

 ずっと待っていた。


 武器を打ち終わり、きりの箱におさめて、それから、仕舞しまわれるばかりじゃなくて、箱から出して刀剣とうけん手入れをほどこして。真綿まわたで綺麗にして、油と真綿でみがいて、ぬぐがみで古い油を拭き取って新しい油をして、打ち粉を使って曇りをみがき、つかから分解して丁寧に仕上げ――――そうしてボクたちは、その武器は、待っていた。


 先日、ついにボクはくらからその刀剣を表に出して、待ち人に不義理を働き、刀剣とうけんを手に握り使用した。


 ――――なんとなく、分かるのだ。


 刀身の、輝きが――鏡のようなのに、くもって見えてしまう。


 そんな時、ボクたちは察する。


「間違いであれ」と願いながら。


 そして。

 それでも待ち人が現れない時は、その武器を折って破壊する人もいるし、先日のように、その剣を表に出して武器としての意味を持たせる人もいる。


 丁寧な手入れをほどこし、またきりの箱に収める。


 ボクたちはその時、何とも言えない気分になる。


 悲しいのとは違う。


 虚しいのとも。


 期待を抱いているような気がする……そうでない気もする。


 あるいは――悲しく虚しいのかもしれない。自分たちでも、よく分からない。どうしてかその時は、湧き上がる感情というものは、ないから。


 でもいずれその時は訪れるだろう。



 

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