夜のアオイ

紫水ミライ

第1話 後悔の味を知る

いつも通りのはずのマンションの一室は、古びたようにどこか淋しさがある。

薄暗い部屋、時計がチクタク、チクタク。

針を鳴らせながら、部屋にそんな小さな音が。

洗面台に立てば、君の歯ブラシが。

ソファーに座れば、二人で座りながらはしゃいだ思い出が。

そしてテーブルの上に、君との最後のデート写真が。

どうしてこうなったんだろう。

私から言い出したのに。

別れを告げたのは、私なのに。

今更、どうして後悔するの。

後になって、頬を濡らす。

もう戻られないのに、なのに。

あんな男のことを、まだ好きだなんて。

もし、違う生まれ方をすれば。

違う出逢い方をすれば。

こんな痛みを知らずに、私は今も笑っていれただろうか。

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