夏の華

十枝 日花凛(とえだひかり)

プロローグ

 私が見る景色は蒼一色で凄く美しい。

 ただ、今の私はその美しさに気付く事は出来ない。心は蝕まれ美しい世界を美しいと感じる余裕すら、無くなってしまったのかも知れない。


 夏独特の蒼い空に浮かぶ入道雲

 真っ暗な空に散りばめられた星

 夏祭りで売っているかき氷

 涼し気な水の中を泳ぐ金魚

 色とりどりの冷たく冷やしたゼリー


 昔は、夏になると楽しかったのに今見ている世界は色の無い世界だ__


 た、す、け、て

 た、す、け、て


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