第2話 神里家について

 さあ、今一度この神里家について私24代目当主神里直継が詳しくお話ししよう。

 我が一族は元寇による日本侵略が起きてしまった場合、立て直すことが出来る可能性があるものたちと言う理由で幕府のもと生まれた一族だ。

 当時日本ではモンゴル帝国による侵攻を煽る文書が送られてきたことにより、パニックが起こっていた。そこで当時の執権様が万が一日本が侵略された場合、取り返せるようにという名目の元、秘密裏に当時裏で権力を握っていた神楽家と天里家の2人の子供を結婚させたのが由来とされている。だがどうやら苗字をどちらにするかで喧嘩となり、双方の名をとって神里家となったようだ。その時の2人のうち男の子を初代として我が一族は始まった。そして執権様はありとあらゆる能力を初代に注ぎ込んだ。これが始まりである。

そして関ヶ原の戦いにより最後の戦いが行われ、力を恐れた徳川家により孤島を与えられた代わりに本州への入国を禁しする契約を結んだ。これ以降我が一族は孤島で日本の危機が起こるまでただじっと待つこととなった。

 我が一族の理念は一つ。

 誰よりも強く優しく全てをこなすである。

 我が一族は直系と呼ばれる親子の関係が直接繋がっている体制をとる。

 結婚も政府から推薦された女性とであり両者の合意の上行う。私も嫁とは仲が良くよく釣りなどして出かけている。ふふふ、今日も一緒に出かける予定があるのだ。おほん、まあそんな感じで代々受け継がれてきたのだ。

 男に生まれると言うことはすなわち老若男女みんな守るものと言うよく言えば古き良き、悪く言えば時代錯誤な一族と認識してくれ。

 男は皆ありとあらゆる能力を身につけさせられる。武術、芸能、家庭、学問など幅広い分野を全て行えるように小さい時から教育される。ひとまずこれくらいにしよう。


 そして私は24代当主として頑張ってきたのだ、妻とも仲良く、子供も男の子が生まれ、代々受け継がれてきた教育を行い、50手前引退と考え、家督を息子に譲ろうと。隠居後はのんびり妻と小笠原諸島などの島々に旅行にでも行こうと考えていたのだ。いいだろう?

 そして今日はとうとう息子にこのことを伝えようと呼び出している日なのだ。やっと肩の荷がおりる。ガタッ!

おおっと、襖を開く音がした。どうやら息子が来たようだ。ちょっとお暇させていただく。



「我が息子よ、よくきてくれた。今日も学問、武芸をしっかり学んだか?」


「はい父上、今日は数学のテイラー展開と呼ばれるものを学習し、薙刀の使用法について祖父によりご教授されました。」


「そうか、お前もだいぶ立派になったものだ。体は細く、筋肉は研ぎ澄まされている。あることをそろそろお前に言わないといけないと思い、呼び出したのだ。」

 そういうと息子は真剣な顔になった。うんうん、やっぱり我が息子は優秀だ、私の言うことはもうとっくに理解しているのだろう。これなら安心して家督を譲り、楽しい余生を過ごすことが出来る。いやー長かった、長かった。


「父上、私からも一つお願いがあります。」


 いやー、まさか息子の方から言ってくれるのか?!もうあなたよりも私の方が優秀だ。当主の座を譲れって!ふー、落ち着けここは威厳を見せないと。


「ウ、ウン。なんだ言ってみろ。」

 さあ来い!どんとこい!一度は跳ね返すけど


「東京の高校に行かしてください。」


 う、うーーーん!!?????




評価、コメント気軽によろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る