第10話 偶像破壊

【Scene 1:いつものラーメン屋】


いつものラーメン屋、いつものちゃぶ台には、REALのメンバー4人がズラリと並び、湯気立つラーメンをすすっている。店の隅には異様に浮いた55インチの巨大テレビ。年末歌合戦出場祝いに、制服の田中社長から進呈されたものだ。

(※店の2階の広さは4畳半)


TV画面にはド派手な衣装のロック界のご意見番・老害、富田和夫が登場。フリップを持って、例のクセ強めな笑顔。



富田(TV):

「さぁ、こちらの歌詞ですねぇ〜。

“優しさで満たされたこの世界、君の歌を聴かせて”……。

うーん、なんて慈愛に満ちた表現!こーゆーの、kidsはね、真似しなきゃダメ!ていうかね、この僕を見習って欲しいのよ。ネチネチ……」



ミサキ(即・毒吐き)

「ウゲェッ、また出た、老害・富田。真似しろだ? ロックは模倣じゃなくて、爆破だろが!。大体、何なんだあのオカマバンドは?」


カナメ(冷静に)

「らしいね。あのMrs.イエローパプリカって、富田の肝入りプロデュースだって噂。売れるためだけに作られた、人間プリンみたいなバンド。」


ハジメ(メガネくいっ)

「売れてるものが一番って言うなら、一番の寿司は、コンビニのパック寿司になるな。」


ユウジ(ずずーっ)

「いやでも俺、あのパック寿司好き。エンガワも入れて欲しい。」


———


【Scene 2:イバラキロックフェス・当日】


巨大ステージ。ファンでぎゅうぎゅう。

まずはMrs.イエローパプリカ登場。


Vo.レモン(泣きぼくろ)

「みんな〜!今日は“みんなが君で、君がみんな”って気持ちで、優しさシャワーぶっかけま〜す💛」


観客(一部)

「富田さんのご意見聞いて、涙出ましたー!」

「ナヨナヨボイスに癒される〜」


だがその後、REAL登場。


ハジメ、アチョーっ!

「優しさじゃ、ロックは鳴らねぇ!。」


ミサキ(キツめの遠州弁炸裂)

「ぶっ壊すんがウチらの仕事じゃ!それとな、“おかま”っつったんは悪りぃけどよ、曲がクソダサいんはほんまもんの話じゃで!!」


ユウジ(ドラム前で意味不明な体操)

「謎肉より謎リズム、いくぜ。」


カナメ(淡々と)

「うちら本物。俺の腰振りベースも本物」


REALの1曲目「No Mercy, Just Ramen」(容赦なし、ラーメンだけ)

で、地面が揺れるほどの衝撃。


観客たち(一斉に土下座)

「神…神だ……!Mrs.と実力差ありすぎる……!」


Mrs.イエローパプリカのVo.レモン(泣きながら)

「マネージャー……ボク、やっぱ…農家に戻る……!」



【Scene 3:ラーメン屋・帰還】


TVには速報が。


アナウンサー:

「イバラキフェスにて、REALがMrs.イエローパプリカを撃破。“公開処刑フェス”の名がついた模様です。」


富田(テレビに再登場、フリップなし)

「………優しさって、なんだったんだろう……(虚無)」


ハジメ、コンビニ寿司を指差し、「これ食ってろ寝てろ、富田。一番売れてても、それが“本物”とは限らねぇんだよ。」


ミサキ(湯気越しに)


「REALは売れるためじゃなくて、ぶっ壊すために立ってるだよ。ラーメン屋からだで!」


カナメ・ユウジ

「最近のミサキネキ、ヤンキーキャラが定着して荒れてるな‥‥‥。普段は清楚キャラだったのに。。。」


———


その後、Mrs.は解散。

数年後、「Mr.漬物レボリューション」として復活したが、泣かず飛ばすらしい。

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