雪冤の魔女
雨翠 潤
厄災
剣が魔獣の肉を貫いた。轟音を響かせながら巨体が地面に崩れ落ちた。
「倒した……」
ふとこぼれた言葉と共に体から力が抜けていった。土の冷たさが体に沁みていく。いつの間にか魔獣に引き裂かれた傷から血が溢れていた。薄れていく視界の向こうで血が広がっていくのが見えた。
その時誰かがつぶやいた。
「魔女のせいだ……。魔女が魔獣をつれてきたんだ!」
恐怖と憎しみの籠った言葉が傷を負った村人たちの中に伝染していく。
存在のしない罪を人々はまた、魔女に着せていく。
暗転してく世界で村人たちが魔女への恐怖を過熟させていくのを感じた。
ああ、何故だろうか――。自分の中に人々と相反する感情が満たしていくのを感じた。
「ニエリ……」
世界が間違っていることを証明したかった――。
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