第32話「モンスター特攻」

 混沌覇王の娘ジェシカ。彼女については詳しくないが、かの混沌覇王の娘と聞いてはランザクとクローニャは黙って見過ごす事はできなかった。


「あーそうそう、魔法少女になれる因子の正体も明かそう。アレは父様の遺体から抽出したもので、正式名称は『混沌因子』。この因子に適合できた者達は絶大な力を獲得する事ができる。しかし、適合できるのは人間だけ。つまり、魔法少女がお前達モンスターの天敵なのは変わらないな」


「それを知ったらウチ達も黙ってられないわ!」


 ランザクとクローニャの目の前に魔法少女のガイア、キリ、イナリが姿を現した。


「ウチ達を利用してたのは全部、魔女ジェシカの仕業やったんやな!」


「全てを知ってしまったなら、オレ達はモンスターと戦う理由がなくなった」


「せやね、ステラちゃんがネロスと上手く行った以上、ワイ達も黙ってられへんわ」


 心強い援軍が来たのだが、ジェシカは余裕の態度を見せていた。


「一度ばら撒いた混沌因子は引き剥がせないし、ましてやお前達、魔法少女を操作したり洗脳する事もできない。でも、ワタシには特別な力がある」


 ジェシカが杖を振るっただけで、ランザクとクローニャが吹き飛ばされてしまった。


「は、え?」


 ガイア達は無傷なのに、なんで二人が吹き飛んだんだ?


「種明かし、ワタシにはモンスター特攻が付与されてる。つまり、相手がモンスターだったら問答無用で一方的に攻撃できるんだな」


「そ、そんなの卑怯や! キリちゃん、イナリちゃん、みんなでランザクとクローニャを守りながら戦おう!」


 ガイア達がジェシカに攻撃しようとしたら、再びランザクとクローニャだけが攻撃を受けていた。


「良いのか魔法少女達よ。ワタシと戦って良いが、戦いが長引くと後ろのモンスター二体が苦しみ続ける事になるぞ?」


「く、速攻で終わらせる!!」


 ガイアが拳を振おうとした直後、三人の魔法少女達とランザク、クローニャを包み込むような水のドームが出現した。


 そしてドームが消えた直後には、その場にはジェシカしか残されていなかった。


「逃げた? まぁいいか。次の作戦は整ってるからな」


❤︎


「ガイアちゃん! 相手の挑発に乗ったらダメや!」


「カギリちゃん!? なんで!?」


「ネロス様との和平交渉が上手くいって自由の身になったんや」


 全員が下水道に避難していると、ガイアはカギリに抱きついていると、それを見ていたニリスは不満そうな顔をしていた。


「カギリだけずるーい。ねぇねぇガイアちゃん、ワタシにもハグして良いんだよ?」


「え? なんで?」


「いや、ほら、再会のハグ的な?」


「わかった。ぎゅ〜」


「あばばばば! 背骨が折れるー! でも幸せー!」


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