第18話「聖女が見つかりました」
「カギリ、ニリス、二人も負けたのか」
サムライ風の鬼の女モンスター『ランザク』は自分の愛刀を磨きながら呟いていた。
「しかし、何と言うか。魔法少女だったか? 我も気になって、この世界の魔法少女もののアニメや漫画を見たが。カギリとニリスを倒したステラ、ガイア、キリは魔法少女っぽくないな」
ランザクは考えていた。彼女が見たアニメだとステッキを持ってキラキラ光る魔法少女達の姿と現実の魔法少女の実態が違いすぎて困惑していた。
ステラはレーザー、ガイアは力持ち、キリは銃火器を無尽蔵に出せる。
……魔法少女とは?
「ふむ、考えても仕方ないか。四天王最後の我が敗北した時点で、何とかネロス様を騙し通してる四天王の一人クローニャへの負担が大きくなるか」
刀の最終チェックをした後にランザクは刀を腰に差した瞬間だった。
「そこ、さっきから隠れてる奴。何者だ」
気配を察してランザクが振り向くと、薄暗い暗闇から一人の魔女が姿を現した。
「
「なんだと?」
「ワタシが魔法少女になれる因子をばら撒いた目的は聖女を見つけること。アナタ達は魔法少女じゃない少女を手当たり次第に集めていましたが、これからは少女ではなく魔法少女を狙いなさい」
「ほぉ、じゃあ魔法少女の誰を狙えば良い?」
「流星系魔法少女ステラ……の誰かが聖女です」
「ん? ステラは一人ではないのか?」
「いいえ、ステラは二人で一人に変身できる魔法少女。聖女とは、別の誰かとの間に愛、絆、希望を生み出し、お互いに一つの存在となって変身できる唯一の存在です。それに適合できた魔法少女はステラだけです」
「ふむ、そのステラを手に入れれば、ネロス様の狂愛が収まると?」
「そうです。ワタシがネロスに加担する理由は、彼女が異世界の救世主であり、ワタシは彼女に救われた一人だからです。恩と義理を果たす為とは言え、別の世界に迷惑をかけたのは事実。全てが終わった時はワタシが犠牲になりましょう」
「そこまで覚悟を決めてるのか。分かった、どうもお前は敵ではないらしい。そして、カギリやニリスみたいな正攻法ではステラだけじゃなく、他の魔法少女に勝てる気がしないな。今は作戦を練るとしよう」
「そうですか、ワタシは来たる時が来るまで大人しくしてます。それではさようなら」
それだけを言い残し、魔女は闇の中へと消えていった。
ランザクからしたら魔女は味方なのは事実だが、何とも薄気味悪い存在だなと感じるのであった。
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