第17話「ブラックハウンド」
「げぇ、ヤツハ」
「あれ? そこに居るのはレイサちゃんかい?」
ヤツハちゃんは私と同い年らしいけど、レイサちゃんと知り合いなのか?
私達の同意とか無視してヤツハちゃんが私達の席に座って肉を焼き始めた。
「あの、レイサちゃんとは、どう言う関係ですか?」
「ん〜? ただの仕事仲間かな」
「仕事?」
「あれ? その反応からすると、レイサちゃんは自分の仕事をみんなに話してないのかい?」
ヤツハちゃんが何を言ってるのか分からない中、私達の視線が無意識にレイサちゃんに集中すると、レイサちゃんは我慢できなくなったらしく白状した。
「笑うなよ? 私とヤツハは警察の汚れ仕事を担う特殊部隊『ブラックハウンド』の一員で、ヤツハは私と同い年なのに隊長クラスなんだよ」
「は!? 初耳なんだけど、なんで今まで黙ってたの?」
「いや、私とミチカは同い年なのに学生じゃないのが恥ずかしいから」
「いやいや、そんな理由でレイサちゃんを馬鹿になんてしないよ! と言うか、魔法少女の仕事に加えてブラックハウンドの仕事までやってるのって大変じゃない?」
「大変なのは事実だが、幼少期から訓練を受けてるから大丈夫だ」
まさか、こんな形でレイサちゃんの裏の顔を知る事になるとは。
焼き上がった肉を皿に乗せてるヤツハちゃんがレイサちゃんに衝撃的な発言をした。
「あ、その話やけど、レイサちゃんはブラックハウンドを抜けて良いよ」
「ど、どう言う意味だヤツハ!」
「いや、ワイは受け入れてるけど、ブラックハウンドの指揮官であるおじ様はレイサちゃんはブラックハウンド以外の生き方はできないと勘違いしてるけど、でもワイと同じで魔法少女に変身できるようになってから指揮官に抗議してるよね? 隊長であるワイから見たら、そんなレイサちゃんを放っておけなくてねぇ」
「そんな理由で、あの頑固オヤジが納得するのかよ?」
「させる。簡単な話や、モンスターを倒して世界が平和になった後に普通の女の子として生きることができたなら、指揮官も納得するやろう。それまでの間、レイサちゃんには『普通』を学んでもらう。これは隊長命令や」
「……責任は、アンタが全部背負うんだな?」
「そうやよ〜。はい、話は終わり、ミチカちゃん、ナナちゃん、エリマちゃん、せっかくのオフ会やし肉食べようや。早くしないと焦げてしまうで」
ヤツハちゃんって、なんか掴みどころがない謎の人物だな。
そして、レイサちゃんは、もうブラックハウンドとしての仕事をしなくて良いのか。
喜ぶべきかどうかモヤモヤしながら、私達は焼肉を食べた。
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