異世界に来て

@NEKOsuzuki

異世界に来て

私は気づいたら白い光で満たされている空間に立っていた。

「お、おい…ここはどこだよ…」

「そこのお主よ…」

どこからか声が聞こえてくる。誰の声だ?誰に話しかけているのだろうか?

「あの…ちょっと…」

「は、はい?」

「おお、よかった。聞こえていたか。お主には異世界に行ってもらう。」

「おお!!、つ、つまりすごい力をもらって世界を救えみたいなことですか!!」

「う、うん。まあ、そういう感じだ。ついでに力も与えておいたぞ。がんばれよ。」

「はい。」

「うむ。行って来い。」


そうして私の視界は虹色の渦に飲み込まれた。


「うにゅ… ここは、異世界??」

考えていても仕方がないので、私は目の前の道を右に向けて歩き出した。

そうして丸七日歩いて、歩いて、歩き続けて私は大きな街に着いた。


「入市料 25アスだ。」

アスというのはこの世界の最低価値の貨幣らしい。私は大判銅貨を出して衛兵に渡した。

衛兵は、「ようこそ、ナミュールへ。」とだけ言って次の人への対応を始めた。


初めて降り立つ異世界の街。ワクワクしないわけもなく、当て所なく街を歩く。目に入るもの、聞こえるもの、感じる匂い、肌を撫でていく空気、全てが新しく、新鮮だ。


そして目の前には、「冒険者同業者組合」と書かれた大きい建物があった。

中に入ると、右側に酒場、左側にカウンターがあった。


登録はすぐに終わり、身分証明なども必要はなかった。

私は「煤黒」ランクの冒険者になった。

黒く塗られた木の板に貼られたたくさんの依頼の中から「薬草採取 キズグチ草10本ごとに10アス」と書かれた1枚の紙を剥がし、受付に持っていく。あっという間に受理され、私は冒険者としての初めての仕事が始まった。


近くの森に分け入っていくと、すぐにキズグチ草の群生地が見つかり、40本ほどの草を採取することができた。


そうして、キズグチ草を集めて、いざ街に戻ろうと振り返ると、街の方面がどちらか見失っていた。


どちらに行けばよいかもわからず歩いていると、1人の薄汚い男に話しかけられた。

「君、こんな森の奥まで来てどうしたの?ここには危ない野盗がいるらしいから危ないよ」といって、「琥珀」の冒険者証を見せて来た。私はすっかり安心し、こう言っていた。

「キズグチ草の採取の依頼で迷ってしまったので、街まで送ってもらえませんか?」


私は忘れていた。ここが異世界で、元いた日本とは何もかもが違っているということを…


「迷いのネーベル ゲディウング

なにか聞こえた気がする。 特に気にせず私は歩き出した男に続いて、歩き出した。


気づいたときには、洞窟に入っていた。


「カシラ!連れてきやしたぜ!」

「おぉう。上玉じゃねぇか… 褒めて遣わす。」


「えっ、なに…」

「お嬢ちゃん、こんな怪しい男を信用してのこのこついて行っちゃだめだぜ。」

「もう遅いけどな。 ぎゃはははは!!!!」


私は思う。(でも、私は「《不変》の特性を持っているから耐えられるはず…」

しかしその思いは無意識のうちに口に出てしまっていたらしい。


「ほう…特性持ち。転移者か。転移者たちの絶望で歪みきった顔。最高なんだ。なるべく長く楽しませてくれよ…」そうして男は舌なめずりをする。

「カシラ! 終わったは俺にも楽しませてください。」


そうして終わらない苦痛が始まった。


何時間、何日、何年たっただろうか。

ある日突然、「もういい。飽きた」と言って私は広間に引きずり出された。

そして次の瞬間。自分の胸から鈍色に光るものが生えてきた。

急速に目の前が真っ暗になる。引き抜こうと胸元を探り、ぬるっとした感触に襲われる。自分の命の灯火が急速に吹き消されようとしていることを感じた。

しかし、《不変》はそれを許さない。


体の奥が熱くなり、体の筋肉が撚り合わされ、体が修復されていく。


刃がひねられ、体が破壊される。


だが、《不変》はそれを許容しない。


体の奥が熱くなり、体の筋肉が撚り合わされ、体が修復されていく。


永劫とも思える時間が過ぎ去り、女の中の魔力が枯渇し、死んだ。

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