第33話 オフレコの話
「今日、市役所へいっとっての。新聞記者のような格好をした人と話をしとったら、オフレコの話じゃちゅうんじゃけんど、世界じゅうの科学者が近々地球のプレートが大移動するといいよるらしい。
近い将来世界中で地球規模の大災害が起きるんじゃそうな。
ほやけん人類が絶滅せんよう避難させるために、宇宙ステーション計画が持ち上がったんじゃと。ほじゃから、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国など世界じゅうで火星移住計画が進んどるんじゃそうな。
災害が鎮まって人が住めるように地球が落ち着いたら、戻ってくるんじゃちゅうていうとる。わしゃほんならなんでそれを世間に発表せんのんぞちゅうてきいたんじゃが。
そしたらのーえー、そなんことをしたら世界じゅうで大パニックになろがい。ほやけん発表せんのんじゃと」
山内は新しい重大ニュースをさっそく披露する。確かに太平洋の真ん中の西之島も噴火しつづけていて、小さかった島がずいぶん大きくなった。深く考えもせず、なんとはなしに
日本の領土が広がって良かった位にしか純は思っていなかった。
安藤一家とは妙に合う。山内にしては珍しく本音でつきあっている。
だから山内はときどき安藤家へ将棋を指しにやってきた。
純は二人のさ程巧くもない将棋につきあうこともあった。
今日は将棋でもなんでもなく、昼休みにビッグニュースを報告にきたものらしい。
母が茶菓(さか)を運んでいるときに、聞くともなしに聞こえてしまったビッグニュースだった。
そんなとき山内の話をこ耳にはさんだのだ。
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