第3話 計画失敗→方針変換

『餌枠』の発動条件がわからない…


解らぬままで間違って発動するのも怖いが発動させて死ぬのも嫌だ




誰に対しても嫌がらせが通用せず、塔に隔離作戦がうまく行かずに熟考を重ねた結果そうだ!と思いついたのは


『お行儀悪くしよう作戦』


汚い言葉を使いお昼ごはんをポイ~っとわざと落とす、これでこんな子はしまっちゃおうね!になるはず、完璧!だと思ったら兄上に窓からポイ~っと投げ捨てられた…俺が


母様には何処でそんな言葉覚えたのと泣かれるし


兄上には半殺しにされて…お陰で母様のDNAを受け継いだお顔が稽古の時の倍以上に腫れ上がった


「もう二度と母様を悲しませるんじゃないぞ」

ひゃい、みょうみどとはい、もう二度といひゃしみゃひぇんいたしません


このままではギフト発動以前に兄上に殺されてしまう、俺は塔に隔離作戦を断念した



逃げられないのなら死ぬかもしれない要素を極限まで減らすしか無い


餌枠に対する捕食者プレデターはなにも人や動物といった生命体だけではない


天災や人災、事故に病気すら餌枠にとっては明確に意思を持って命を狙ってくる捕食者なのだ




ちょっとボルトが緩んでた


整備されていない道具を使った


排水口が詰まり気味だった


誰も気づかない程度のルール違反をした



きっかけはどれも些細なものだ、日常で起こり得るちょっとした事がとてつもない大惨事を招き、餌枠は巻き込まれて死ぬという


『デスピタゴラスイッチ現象』


これを可能な限り防ぎたい



今日はそのための第一歩だ


執務室の扉の前に立つ

「おはようございますクルート殿下」

門番、この場合は扉番?の騎士が挨拶

「おはよう、父上は…国王陛下は?」

「はい、中で執務をされていらっしゃいます」


本当はもっと形式張ったやり取りをしなきゃいけないんだけど子供相手だからやんわりした対応をしてくれる


「声を掛けても?」

「殿下が来られるのでしたら陛下もお喜びになられるでしょう」

にこっと笑ってくれて勇気が湧く、仕事中の父上に会うのは初めてなのだ、深呼吸をして扉をノックして


「失礼しまう」

やばい初っ端から噛んだ落ち着け俺!五歳児の話を父上いや国王陛下にちゃんと聞いてもらうんだ


あれ?返事がない聞こえなかったのだろうか…


「陛下、クルート殿下がお見えになられています」


「ん!そうか入れ」

中からちょっと驚いたような父上の声、扉番の騎士さんは良かったですねとウインクしてくれた


「どうしたのだ、ここに来るのは初めてだろう」


「国王へいかにお話が在ります」

「そんな仰々しい、いつも通り父上と呼んでおくれ」


ここで父上と呼んではいけない、父と子の会話ではなくこれはお仕事のお話だから

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