第4話『連続失踪事件その2』
「さて、どうしたもんか」
「失踪者達はケーブルをPCに繋いでP-BMIに何か細工をしていたんですかね?」
「BB社の社長はその可能性を否定していたがな」
「まぁそうなんですけど…」
「ただ、もしその可能性があるならやりようはある」
「どうするんですか?」
「近藤、娘さんは今日休みか?」
「えぇ、志帆は学校が休みで家にいますが、それがどうかしました?」
「申し訳ないが、連れてきてもらえないか?」
「構いませんがどうして…あぁ!そういうことか!志帆にしか見えないモノがあるかもしれませんよね」
「そういうことだ。すまんな、娘さんを捜査に協力させてしまって」
「大丈夫ですよ、人助けが好きな子ですから」
「母親に似たのかな。ありがとう、助かるよ」
「さて、創さんが笹川 麗を目撃した現場にやってきましたが、先輩は何を持ってきたんですか?」
「これか?もしかしたらこれで撮影出来るかもしれないなと思って旧世代の遺物を持ってきた。ビデオカメラってやつだ、知ってるか?」
「いえ、見たこと無いです。昔はこれで映像を撮ってたんですか?」
「あぁ、わざわざ目で見た映像を記録するために別個でこういう機器を持ち歩かないといけなかったのさ。今考えるとめんどくさいことこの上ないよな」
「まぁ、でも今回の捜査ではそれが逆に役に立ちそうですよね」
「ネットにも繋がっていないこのスタンドアロンな機器なら、笹川 麗がP-BMIにした細工も全く意味が無いからな。志帆ちゃん、ごめんな、折角の休みだったのにおじさんやお母さんの用事を手伝わせちゃって」
「大丈夫!居なくなっちゃった人を探してて、私が見つけられるかもしれないんでしょ?早くそのお姉ちゃんを見つけられると良いね」
「ありがとう、そう言ってもらえると助かるよ。前回、創が笹川 麗を目撃したのは深夜だったが、志帆ちゃんを深夜に連れ回すわけにいかないからな、仕方ない」
「もしこの辺で生活しているなら、時間帯問わず出歩いている可能性はありますからね。この時間でも見つけられるかもしれませんよ」
「よし、じゃあ少しこの辺を探してみるか。俺はこのビデオカメラを回しながら向こうを探してみる。近藤は志帆ちゃんと一緒に反対のあっち側を探してみてくれ」
「了解です」
「先輩!笹川 麗見つけました!」
「ホントか!すぐそっちに合流する」
「待たせた。まだ笹川 麗は居るか?」
「志帆、まだ探してるお姉ちゃんあそこのベンチに座ってる?」
「うん、座ってる」
「ちょっと待ってくれ、カメラに映るかどうか確認する。ホントだ、あの創が撮った映像に映ってた女性だ。肉眼で見えないのにカメラ越しだと見えるのは不思議というしかないな。一体どんな技術を使ってるんだ?」
「まぁそれは彼女に直接聞いてみましょうよ。先輩が近づくと怪しまれるので、私達が近づいて話を聞いてみます」
「悪いな、頼んだ。このカメラを持っていってくれ」
「お姉ちゃん、そこで何してるの?」
「…え、私が見えるの?」
「うん、見えるよ」
「あなたが笹川 麗ね。ちょっと話を聞かせてもらっても良いかしら?」
「誰、あんた。あんたもなんで私が見えるのよ!」
「あなたがP-BMIに行った改造はこのカメラには影響しないらしくてね、私はカメラ越しならあなたの姿も見えるし声も聞こえる。娘の志帆はそもそもP-BMIを体に入れてないからその影響を受けないのよ」
「くそっ、捕まってたまるか!」
「ちょっと、逃げないで!先輩、そっち行きました!捕まえて!」
「は?どこだ、俺には見えないんだぞ!」
「先輩から見て右手に逃げました、とりあえずそっちに走って!」
「分かった!」
「痛っ!」
「先輩ナイス!私が捕まえます!」
「頼んだ!」
「ちょっと大人しくしなさい!別に逮捕する訳じゃないわ、話を聞かせてもらうだけよ!」
「なんか俺から見たら近藤が一人で転げ回ってるようにしか見えないんだが…そこにいるんだな?」
「居ますよ!あーもう、姿も見えないし声も聞こえないし触ってる感覚も無いのにそこに居るって変な感じ!」
「離せ!この!離せよ!くそっ!」
こうして何とか笹川 麗を捕まえることに成功した俺達は、警察署で取り調べを行うこととにした。笹川 麗はどうやってあのケーブルを、そしてP-BMIを改造するツールを入手したのだろうか。
小説『ワンネス リローデッド Oneness Reloaded』 渡辺羊夢 @watanabeyomu
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