ララァの作った同人誌 機動戦士Gundam GQuuuuuuX レビュー
ララァの作った同人誌
by:R藤本
一時期は2025年春アニメの覇権アニメと評されていたが、その後凄い勢いで失速というか炎上というか批判意見一色になったガンダムシリーズの最新作。
大体クソな作品って、最初からもう全てが駄目みたいな感じで酷評される事が多い気がしますが、ここまで評価が反転するのも中々珍しいと思います。しかもたった1クールの内に。
一体何がそこまで批判されたのか?この謎を探るため、私は単身動画配信サービスという名のジャングルに向かって視聴しました。で、全話観終わった感想としては、そりゃまあ批判されるわなと。
ちなみに私はガンダムシリーズは教養としてやっぱ観といた方がいいのかなぁと思って、高校生の時に1stから00の途中までDVDをレンタルして見ましたが、ぶっちゃけそこまで思い入れはありません。それと、一応最近の作品なので極力ネタバレなしでレビューしますが、本作をレビューするにあたって、いくつか物語の根幹に触れざるを得ない部分があるので、その辺りを御理解いただいた上で本レビューをお読みください。それでは参ります。
良い点
・劇判とOP・ED
電波でボカロっぽい感じがちょっと鼻につきましたが、世界観にはあってたと思います
・作画
流石天下のガンダムシリーズだと思って、作画はトップクラスに良いです。制作陣の本作にかけた気合の入りようが伺えました。
・第二話
アムロが存在しないIF世界の1stガンダムの第一話を見れた時はテンション上がりました。効果音や劇判、はたまた構図にいたるまで1stの第一話に倣っているのもファンには嬉しい点でしょう。
以下批判点
・電波過ぎるストーリー
はっきり言って意味が分かりません。当初はモビルスーツを使った大会みたいなのに主人公達が参加するストーリー展開だったのに、どんどん脱線していってマジで訳わかんなくなります。制作陣は爽やか青春ものを書きたいのか、ポリティカルフィクションを書きたいのか、泥臭いバトルを書きたいのか、それともセカイ系の作品を書きたいのか、どれなのでしょう。全体的に詰め込み過ぎのような気がしますね。まるで中学生が書いた黒歴史ノートの如く、最終的に収集つかなくなります。
・登場人物
誰にも何も感情移入できません。お前等は一体何がしたいんだ。それすらよく分かりません。
そもそも主人公に魅力がないというのがかなり致命的な欠点のような気がします。彼女ははっきり言って、頭が悪く、思慮も足りず、現実を舐め腐った単なる思春期真っただ中の小娘でしかなく、そのせいで見ていてイライラしました。
・電波な台詞満載。
所謂『富野節』を作為的に作り出そうとしてこんな妙な台詞回しを多用したのでしょうが…。
この作品「キラキラが~!」とか「ガンダムが言っている」とか、抽象的過ぎる台詞満載です。ただでさえ電波なストーリーな上に、終始こんな分かりにくい台詞ばっかり出てくるので、より一層ストーリーの読解を困難にさせています。まあ最後の最後でそのストーリー考察すらまともにするのが馬鹿らしくなってくるような『仕掛け』が本作には存在しているのですが…。それについては後述。
・盛り上がったところ全部過去作のオマージュ部分
前述した通り、1stやZガンダムのオマージュ出た時は素直に嬉しかったんですがねぇ。
この作品ならではの魅力というものが皆無だったような気がします。結局本作で素直に「面白い」と思った部分って、どれもこれも過去作ありきの面白さなんですよね。
というかオマージュというのは「ここぞ!」という部分でやるから面白いのであって、やたら多用されても白けるだけなのでは。後半になってくると過去作のオマージュなんてどうでもいいから、本筋をさっさと進めろみたいな感想しか出てこなくなりました。
・ガンダムというよりエヴァンゲリオン
セカイ系っぽい物語の仕組みといい、サイコガンダムの見た目といい、これガンダムというよりエヴァンゲリオンなのでは…?となりました。エヴァ作りたいならエヴァでやれよ。
・雑な過去作キャラの扱い+メアリー・スーでしかない本作独自ののキャラクター
ギレンをあんな雑に処理したのを見た時は唖然としました。他にも黒い三連星とか、登場させたら絶対盛り上がるであろうキャラクターを、あんな雑に倒すなんて悪手でしかないでしょう。
その倒し方も、なんかいきなり大した脈拍も無くニュータイプの力が覚醒して倒すって……そういう「覚醒シーン」は溜めて溜めて、登場人物の感情が遂に爆発して覚醒するから面白いんであって、何の溜めもないと素直に喜べません。というかご都合主義にしか見えません。
そもそも主人公一行って、マジで何の変哲もない女子高生達だった訳で。仮に彼女達に途方もない才能があったとしても、いきなり歴戦の強者を倒すのは流石に無理筋な気がします。あのアムロでさえ、ガンダムに搭乗していた最初期の頃は苦戦したり、パニックになってた描写ありましたからね。
総じて制作陣の考える「僕の考える最強のキャラクター」を見せたいが為に、過去作のキャラを踏み台にして演出しているような気がしました。
・プリキュアみたいに変身するシャア
マジで意味が分かりません。その後シャアがこの現象について解説してくれますが「……?」としかなりませんでした。
なんやねんこれと思って見てましたが、まさかあんなオチがつくとは…。
・夢落ち
個人的に本作の最大の問題点だと思います。厳密に言うと夢落ちじゃないんですが、夢落ちみたいなもんでしょう。
実は本作の世界観は1stガンダムに搭乗するララァ・スンというキャラクターが創作した世界であり、シャアが死んだ悲しみのあまりに、シャアが死なない世界を彼女が作り出したらしいです。本作にアムロが登場しない理由は、アムロを登場させるとどうあがいてもシャアが死んでしまうからだとか。
は?
なんだこのオチ…この世界が誰かの頭の中で紡がれてるのなら、もうなんでもアリじゃん。そんな何でもありの世界なら、一部のキャラクターにとって都合がよすぎる展開がおこるのは当たり前な訳で…悪い意味で本作の電波なストーリーの謎や矛盾点が全部繋がりました。
つまり本作の制作陣は真面目に本作の世界観を考察していた層すら見放した訳です。だって誰かの頭の中の世界観なんて、真面目に考察するだけ馬鹿らしいですからね。アホくさ。
そもそも論ですが、いくらララァが優れたニュータイプといっても、新たに別の宇宙を作り出すなんて芸当が出来るのでしょうか。そんな芸当が出来るのなら最早キャラクターというより絶対神なのでは…。
考察するだけ馬鹿らしいですが、それでも尚考察しようとするのなら、やっぱり本作はララァが作り出した別の世界線の宇宙世紀というより、心神喪失したララァが見ている幻か、或いは寝ている間に見てる夢みたいなもんなのでしょう。つまりやっぱり真面目に考察するのは馬鹿らしい訳です。
いやぁ…こんなオチを天下のガンダムで行うとはねぇ…脚本家は一体何考えてんのか。夢落ちって創作上に於ける最大の禁忌な気がするのですが。
他作品の例で恐縮ですが、例えば散々炎上したドラゴンクエストユアストーリーでも、実はドラクエ5の世界はゲームの世界で、現実の主人公は単なる冴えないリーマンでしたーみたいなクソみたいなオチがついたわけなのですが、とはいえその冴えないリーマンが生きている世界は確かに『存在していた』訳なんですよ。しかし本作の場合、マジで最初っから最後まで全てが茶番な可能性がある訳です。主人公も彼女の友達も、偉そうに講釈垂れてるジオンのおっさんも、シャアも、なんならその辺のモブに至るまで、全員1stガンダムのララァが考えた、空想上の産物でしかない可能性がある訳です。
えぇ…。
総評
色々言いましたが纏めると、仮に本作の第二期が作られても、世間で話題にでもならない限り、私は絶対に本作の続きを視聴する気にはならないという事です。はい。
という訳で、なんか締まりが悪いですが、この辺でララァの作った同人誌こと、機動戦士Gundam GQuuuuuuXのレビューを終わりたいと思います。
僕は……僕は……とんでもないレビューをしてしまったぁ……!(アムロ風)
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