第6話 こがね、『家事』をする!?
休日の昼下がり。
あかりが学校の宿題をしていると、部屋の隅に座っていた、こがねが拳を握りしめて言った。
「ぼく、家のことを手伝いたい!」
「えっ?」
「ぬいぐるみだったときに、ずっとあかりのお母さんが頑張ってるのを見てた。だから今度は、ぼくも役に立ちたいんだ!」
その熱意に、あかりはため息をつきながらも「じゃあ少しだけね」と許可してしまう。
……だが、それが運の尽きだった。
キッチン編
こがね「まずはお皿とコップ洗いだな!」
――ゴシゴシゴシ!!
「ちょっと!?こがね、力強すぎ!あとそれ金たわしで――ああああ!?コップが柄が削れてるぅ!」
こがね「うむ、ピカピカだ!良き良き!」
(いやそれ、ゴシゴシ洗いすぎてスリガラスになっているだけ……!)
キッチンの横でこがねの様子を静かに見守っていた、ぬいぐるみ猫のしろうは、無言でジトーっとした目を向けていた。
洗濯編
こがね「洗濯機って水が中でグルグル回る箱でしょ?」
――ガタンガタンガタガタッ!!!
「……こがね、洗濯機の中に何を入れた!?」
「あかりのカバンと靴だ!」
「バカぁぁ!布と革は一緒に洗わないの!!」
しろうはポスッと暴走するこがねの足を叩いて止めようとしたが、完全に無視された模様。
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掃除機編
こがね「ふふん、掃除機なら簡単だね!」
――ガボッ!!
「あああっ!?しろうが掃除機に吸い込まれたーーー!!」
しろう「……(もがもが)」
こがね「安心しろ、しろう!今助けるからな!」
――ガタガタッ(掃除機を逆さまに振る音)
「ストップ、こがね!しろうが掃除機の中でパチンコ玉みたいにぺったんこ状態になっているから!!」
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数時間後。
こがねが手伝った?キッチンは水浸し、部屋は洗濯物の山、そして、一時掃除機に吸い込まれたしろうはぺったんこ。
あかりは額に青筋を浮かべて叫んだ。
「こがね、二度と家事をしないでぇぇ!!」
「えっ……ぼく、みんなの役に立ったと思ったのに……」
シュンと肩を落とすこがね。
見かねたあかりはため息をつき、ポンとこがねの頭をなでた。
「……こがね、手伝ってくれる気持ちだけは嬉しいよ。ありがとうね」
「あかり、本当か!?やったー!」
こがねがパァーっと笑顔を浮かべる。
その横で、ぺったんこ状態のしろうがジトーっと二人を見上げていた。
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キツネのぬいぐるみ、人間になる 小阪ノリタカ @noritaka1103
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