ふうりん 🎐

上月くるを

ふうりん 🎐



 朝ぼらけ祭のあとの道白し

 音のして機影見えざる朝曇

 

 たつぷりの水を喜ぶ透百合

 国道に添ひて咲きたる立葵


 瑠璃色のシジミチョウゐる風露草

 茂り葉のおなじはうへと茂りけり


 風待ちの風鈴ちりと鳴きにけり

 詩ごころをりんりん鳴らす螢草


 緑陰へひたすら足を速めたり

 おのづから結界めける木下闇


 花色のハーブまくらや昼寝覚

 手縫せる絹糸の美し薄ごろも


 起し絵の姫の小袖に青海波

 CMで角度を変へる扇風機


 やや遅れ土の匂ひのゆだちかな

 みづうみの岸に待ち受く揚花火


 月のひと待ちわびてゐる月見草

 夜気に身をまかせて仰ぐ夏の星


 冴えわたる大社の上の月涼し

 短夜や絵本の犬は追ひかける




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